東京オリンピック・パラリンピックの開催可否について、いよいよ結論を出すべき時期となっている。開催の最終決定権を持つのは、日本ではなく国際オリンピック委員会(IOC)だ。
IOCのバッハ会長は開催したい意向をこれまで何度も示してきたが、開催するにしても、無観客にするのか。参加できない国があっても開催するのか。それから、選手への接種はどうするのか。数々の問題について近いうちに決着を付けなければならない。
政府内は、IOCと同じく開催したいと考えている。特に菅義偉首相にとって開催できるかどうかは大きな問題だ。
今秋までの期間に衆議院議員選挙を控えており、万が一、五輪を開催できないとなると、選挙はいっそう厳しくなる。すると、菅首相では戦えなくなるだろうというのが一致した見方だ。
このため、自民党内部では、菅首相とポスト菅のどちらで戦うのかについて悩んでいる。国内での聖火リレーは3月25日に始まる。決断する時間は迫っている。
開催に向けた大きなポイントが、新型コロナウイルスに対するワクチンの動向だ。特に一般への接種が予定通り実施できるかどうか。一般への接種が始まれば国内の空気が変わるし、菅政権にとっても大きなアピールになるためだ。
ところが肝心の一般接種が、今の段階では予定より遅れるのではないかといわれている。河野太郎規制改革相は、一般への接種に先立つ高齢者への接種について当初は4月1日以降の開始を目指すとしていたが、「4月以降徐々に拡大して、本格的な接種は4月26日の週から始める」と発表した。
一般への接種はいつから始まるのか。政府は6月以降と見込まれるとするが、ワクチンの供給量など不透明な部分も多くスケジュールが変更される可能性もある。各地方自治体からも、見通しが立たなくて不安だという声が上がっている。
ワクチンメーカーの幹部を交えた直接交渉は河野氏が2021年1月18日にワクチン担当を兼務するようになってから、ようやく始めたという。接種スケジュールが遅れた原因はここにある。
しかもコロナ禍では変異ウイルスの感染拡大が広がっている。変異ウイルスは英国型、ブラジル型、南アフリカ型などが確認されている。すでに英国では変異ウイルスの方が主流になっているという。
3/20(土) 11:00
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