ジョー・バイデン米大統領は19日、アジア系市民が複数死亡する連続銃撃事件のあったジョージア州アトランタを訪れ、人種差別的な言動を前に「沈黙するのは加担するのと一緒だ」と、人種差別や憎悪(ヘイト)行動を非難するようアメリカ市民に呼びかけた。また連邦議会には、憎悪犯罪対策法案の可決を強く促した。
バイデン大統領はカマラ・ハリス副大統領と共にアトランタ入りし、エモリー大学の会場で、地元のアジア系市民の地域リーダーたちと会談した。
アトランタでは16日、白人男性が3つのマッサージ店で発砲を繰り返し、8人を殺害した。被害者のうち6人はアジア系の女性だった。
地元警察は、人種差別が犯行の動機だったとは断定していないが、アメリカでは昨年来、新型コロナウイルスのパンデミック悪化と同じタイミングで、東アジア系住民への暴力事件が急増している。
アジア系市民グループのリーダーたちは、新型コロナウイルスのパンデミックは自分たちアジア系のせいだと言いがかりをつけられ、攻撃されるケースが相次いでいると話す。
こうした事態についてバイデン氏は、人種差別は「この国をもう長いこと脅かし、苦しめてきた醜い毒」で、これを消すためにアメリカ人は努力しなくてはならないと強調した。
バイデン氏は11日にホワイトハウスで行った演説でも、パンデミックの中でアジア系市民が「スケープゴートにされ」攻撃されていると批判し、憎悪犯罪(ヘイト・クライム)をやめさせなくてはならないと呼びかけていた。
ホワイトハウスはアトランタの連続銃撃事件を受けて、18日には追悼のため半旗を掲げた。またバイデン氏は19日、「言葉には影響がある。(ウイルスの名は)コロナウイルスだ。以上」とツイートした。
■ヘイトクライム対策法の成立呼びかけ
バイデン氏はさらに、今月初めにアジア系議員が連邦議会に提出した、新型コロナウイルス関連の憎悪犯罪に対抗するための法案を速やかに可決するよう、議会に呼びかけた。
この法案は、新型コロナウイルス関連の憎悪犯罪を取り締まるため、司法省の権限を強化するもの。「パンデミックの最中に悪化した憎悪犯罪の増加に連邦政府がより速やかに対応できるようにし、州や地元政府からの憎悪犯罪報告を改善し、憎悪犯罪に関する情報をアジア系アメリカ人コミュニティーが従来より入手しやすくなるようにする」のが狙いだと、ホワイトハウスは説明している。
バイデン氏はその上で、「法律の役割も大事だが、それにも増して自分たちが心を入れ替えなくてはならない」と述べ、「憎悪をアメリカでのさばらせてはならない。やめさせなくてはならない」と強調。
「やめさせるのは私たちの役目だ。みんなで一緒に、終わらせなくてならない」と呼びかけた。
3/20(土) 11:50
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