商品やサービスの価格に消費税分を含める「総額表示」が、来月から義務化されます。消費者にとっては、実際に支払う金額が分かりやすくなりますが、事業者からは値上げのような印象を持たれ、売り上げに影響が出ないかと懸念する声もあります。
商品やサービスの価格表示をめぐっては、消費税率が5%から8%に上がる前の2013年10月、条件付きで税抜きでの表示を認める特別措置法が施行されましたが、この法律は今月末で効力がなくなります。これに伴って、来月1日からは、消費税分を加えた「総額表示」が義務づけられることになります。
例えば、本体の価格が1000円、消費税が100円の商品やサービスであれば、事業者は必ず税込み価格である1100円と表示することが必要になります。
財務省によりますと、「総額表示」が義務づけられるのは、値札や陳列棚だけでなく、折り込みチラシやホームページ、店頭のポスターなども対象になるということです。
一方、ワゴンセールのように、複数の種類の商品を1か所に集めて販売する場合、商品ごとに価格を示さなくても、「税込み1100円均一」といったように、税込み価格が分かるように表示すれば、問題はないということです。
「総額表示」の義務化によって、消費者にとっては実際に支払う金額が分かりやすくなりますが、事業者からは値上げのような印象を持たれ、売り上げに影響が出ないかと懸念する声もあります。
■総額表示 消費者は…
総額表示について、消費者からは「支払う金額が分かりやすい」と前向きに受け止める一方、「割高に感じる」といった声も聞かれました。
このうち、都内の40代の女性は「総額表示が義務化されること自体知らなかったが、支払う金額が一目で分かり便利かもしれない」と話していました。
また、都内の70代の男性は「高齢者には総額表示のほうが分かりやすい。一見割高に感じるかもしれないが、半年くらいで慣れるのではないか」と話していました。
一方、都内の30代の女性は「スーパーでは、199円などの表示で割安に感じる部分もあったが、店頭価格が割高に感じれば買わないこともあるかもしれない」と話していました。
このほか、「本体価格が分かりにくくなってしまうので今のままにしてほしい」という声も聞かれました。
■税抜き価格の値下げ 一方で値上げの動きも
「総額表示」の義務化をめぐって企業の間では、税抜き価格を値下げして消費者の心理的負担を軽くしようとしたり、表示を変更するタイミングに合わせて税抜き価格を値上げしたりするなどさまざまな動きも見られます。
日本チェーンストア協会が行った調査では、平成16年(2004年)4月に総額表示が義務づけられた際に、全国のスーパーの売り上げが前の年の同じ月よりも4.4%減少しました。
協会では総額表示が始まったことで、消費者が「モノの値段が高くなった」と感じて買い物を控えたのではないかと分析しています。
こうしたことを背景に、ユニクロなどを展開するファーストリテイリングは、総額表示にしてもこれまでの表示価格を変えなくてすむよう税抜き価格の値下げに踏み切りました。
例えば、税抜き価格1990円の商品は、これまで消費税10%分を加算した2189円で販売していましたが、12日からは、税込み価格1990円で表示・販売しています。会社では、今の税込み価格である2189円をそのまま総額表示にすると切りのいい価格とならず分かりにくくなるためだと説明しています。
また、NTTドコモは、データ使用量20ギガバイトのプランの料金を当初、打ち出した月額2980円から今月、2700円に引き下げると発表しました。消費税額を加えても3000円を下回る料金にするねらいがあります。
一方、ハンバーガーチェーンを展開する「モスフードサービス」は総額表示の導入に合わせて一部を値上げし、主力商品の「モスバーガー」は持ち帰りで今の370円から390円に20円上がります。
このチェーンでは原材料の価格が上昇しているため、総額表示に切り替えるタイミングに合わせて価格の改定を行うとしています。
こうした企業の動きについて三菱UFJリサーチ&コンサルティングの藤田隼平 研究員は「総額表示となることで、消費者には値上げと捉えられ、財布のひもが固くなるおそれはあるが、支払う金額は変わらないため、影響は徐々に薄れるだろう。しかし、企業は値上げが客離れのリスクになると考えるので、消費者の反応や競合する他社の動向を見ながら試行錯誤しつつ価格を設定していくことになるだろう」と分析しています。
※以下省略。記事全文はソース元にて
2021年3月14日 18時11分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210314/k10012914711000.html
商品やサービスの価格表示をめぐっては、消費税率が5%から8%に上がる前の2013年10月、条件付きで税抜きでの表示を認める特別措置法が施行されましたが、この法律は今月末で効力がなくなります。これに伴って、来月1日からは、消費税分を加えた「総額表示」が義務づけられることになります。
例えば、本体の価格が1000円、消費税が100円の商品やサービスであれば、事業者は必ず税込み価格である1100円と表示することが必要になります。
財務省によりますと、「総額表示」が義務づけられるのは、値札や陳列棚だけでなく、折り込みチラシやホームページ、店頭のポスターなども対象になるということです。
一方、ワゴンセールのように、複数の種類の商品を1か所に集めて販売する場合、商品ごとに価格を示さなくても、「税込み1100円均一」といったように、税込み価格が分かるように表示すれば、問題はないということです。
「総額表示」の義務化によって、消費者にとっては実際に支払う金額が分かりやすくなりますが、事業者からは値上げのような印象を持たれ、売り上げに影響が出ないかと懸念する声もあります。
■総額表示 消費者は…
総額表示について、消費者からは「支払う金額が分かりやすい」と前向きに受け止める一方、「割高に感じる」といった声も聞かれました。
このうち、都内の40代の女性は「総額表示が義務化されること自体知らなかったが、支払う金額が一目で分かり便利かもしれない」と話していました。
また、都内の70代の男性は「高齢者には総額表示のほうが分かりやすい。一見割高に感じるかもしれないが、半年くらいで慣れるのではないか」と話していました。
一方、都内の30代の女性は「スーパーでは、199円などの表示で割安に感じる部分もあったが、店頭価格が割高に感じれば買わないこともあるかもしれない」と話していました。
このほか、「本体価格が分かりにくくなってしまうので今のままにしてほしい」という声も聞かれました。
■税抜き価格の値下げ 一方で値上げの動きも
「総額表示」の義務化をめぐって企業の間では、税抜き価格を値下げして消費者の心理的負担を軽くしようとしたり、表示を変更するタイミングに合わせて税抜き価格を値上げしたりするなどさまざまな動きも見られます。
日本チェーンストア協会が行った調査では、平成16年(2004年)4月に総額表示が義務づけられた際に、全国のスーパーの売り上げが前の年の同じ月よりも4.4%減少しました。
協会では総額表示が始まったことで、消費者が「モノの値段が高くなった」と感じて買い物を控えたのではないかと分析しています。
こうしたことを背景に、ユニクロなどを展開するファーストリテイリングは、総額表示にしてもこれまでの表示価格を変えなくてすむよう税抜き価格の値下げに踏み切りました。
例えば、税抜き価格1990円の商品は、これまで消費税10%分を加算した2189円で販売していましたが、12日からは、税込み価格1990円で表示・販売しています。会社では、今の税込み価格である2189円をそのまま総額表示にすると切りのいい価格とならず分かりにくくなるためだと説明しています。
また、NTTドコモは、データ使用量20ギガバイトのプランの料金を当初、打ち出した月額2980円から今月、2700円に引き下げると発表しました。消費税額を加えても3000円を下回る料金にするねらいがあります。
一方、ハンバーガーチェーンを展開する「モスフードサービス」は総額表示の導入に合わせて一部を値上げし、主力商品の「モスバーガー」は持ち帰りで今の370円から390円に20円上がります。
このチェーンでは原材料の価格が上昇しているため、総額表示に切り替えるタイミングに合わせて価格の改定を行うとしています。
こうした企業の動きについて三菱UFJリサーチ&コンサルティングの藤田隼平 研究員は「総額表示となることで、消費者には値上げと捉えられ、財布のひもが固くなるおそれはあるが、支払う金額は変わらないため、影響は徐々に薄れるだろう。しかし、企業は値上げが客離れのリスクになると考えるので、消費者の反応や競合する他社の動向を見ながら試行錯誤しつつ価格を設定していくことになるだろう」と分析しています。
※以下省略。記事全文はソース元にて
2021年3月14日 18時11分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210314/k10012914711000.html