日刊SPA! 2/19(金) 8:55
地方移住ブームは今に始まったことではない。が、ここ最近は中高年だけでなく、若者にも地方移住に興味をもつ人が増加している。2020年1月に内閣官房が東京圏に住む20歳〜59歳までの1万人を対象に行ったアンケート調査でも、全体の約5割が地方暮らしに関心があり、年齢が低くなるほどその割合が高くなるという結果が出ている。
和氣日向さん(22歳)は、地方移住に興味をもつだけでなく、実際に東京都下北沢から大分県臼杵市への移住を果たしていた。彼女はこの地で古民家を改装した「臼杵家」というゲストハウスの女将を務めている。そこでコロナ禍以前は主に外国人観光客の相手をしていたが、いったい、なぜだったのか?
高校卒業後、下北沢から臼杵に移住。ゲストハウスの女将に
臼杵市は県の東海岸に位置する人口4万人弱の小さな町。国宝臼杵石仏や城下町の町並みなどが有名である。『田舎暮らしの本』(宝島社)が毎年発表している「住みたい田舎ベストランキング」2018年度版で同市は総合部門で第3位、若者部門で第1位に選ばれている。
臼杵に移住したのは両親のほうが先だった。そしてオープンさせたのが臼杵家である。臼杵はスナックが多く、夜は比較的賑やかになる。が、泊まる場所が少ないため、地元民しか夜を楽しむことができない。そこで、ゲストハウスを作って地元民以外にも夜を楽しんでもらおうと思ったのである。
日向さんも両親に続いて約4年前、高校を卒業してから臼杵に移住。臼杵家の女将として働きはじめた。
コロナ禍前は外国人客が非常に多かったが、英語を不自由なく話すことができたので、その応対も問題なかった。幼稚園はインターナショナルスクールに通い、高校生のときにはアメリカ留学も経験していたためである。
外国人観光客に“スナック”が好評のワケ
高校生のときに下北沢のカフェでアルバイトをしていたので接客にも慣れていた。そんな彼女の接客スタイルは実にフレンドリーだ。宿泊客をおすすめのスナックに案内していっしょに飲むことも。これが外国人には特に喜ばれるという。
「フランス人を連れていったときは感動されましたね。『龍が如く』というゲームの中に出てくるスナックとそっくりだったらしいです」
それにしても、18歳という若さで東京から地方に移住することに抵抗はなかったのだろうか?
「もちろん最初は少し抵抗ありましたよ。その頃は東京が世界のすべてでしたから。でも、臼杵の人たちは私のそんな価値観をガラリと変えてくれたんです」
オシャレ坊主にも温かい目、臼杵のいちばんの魅力は「人」
移住してきた当初、日向さんはオシャレのために頭を坊主にしていた。東京でも女性のヘアスタイルとしてはかなり奇抜だが、臼杵の人々はそんな彼女を奇異の目で見ることもなく、温かく迎え入れてくれた。
また、お店はチェーン店ではなく個人商店が多いためということもあるのか、その店主も個性的で面白い人が多い。そんな地元の人たちとスナックなどで次々と繋がっていけるのが臼杵のいちばんの魅力だという。
移住者として初の商店街理事に就任
その後、日向さんは移住者としてはじめて臼杵市中央通り商店街の理事に就任。さらに臼杵市移住のポスターのモデルにも起用されている。
「東京での生活が懐かしくなることもありますが、臼杵にはそれ以上の魅力があります。これからもこの地に腰を据えて頑張っていくつもりです」
コロナ禍でテレワークが推進されていることも追い風となり、彼女のように地方移住する若者は今後さらに増えていきそうな気配だ。<取材・文/小林ていじ>
【小林ていじ】
バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeで「ていじの世界散歩」を検索。
日刊SPA!
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20210219-01736779-sspa-soci
地方移住ブームは今に始まったことではない。が、ここ最近は中高年だけでなく、若者にも地方移住に興味をもつ人が増加している。2020年1月に内閣官房が東京圏に住む20歳〜59歳までの1万人を対象に行ったアンケート調査でも、全体の約5割が地方暮らしに関心があり、年齢が低くなるほどその割合が高くなるという結果が出ている。
和氣日向さん(22歳)は、地方移住に興味をもつだけでなく、実際に東京都下北沢から大分県臼杵市への移住を果たしていた。彼女はこの地で古民家を改装した「臼杵家」というゲストハウスの女将を務めている。そこでコロナ禍以前は主に外国人観光客の相手をしていたが、いったい、なぜだったのか?
高校卒業後、下北沢から臼杵に移住。ゲストハウスの女将に
臼杵市は県の東海岸に位置する人口4万人弱の小さな町。国宝臼杵石仏や城下町の町並みなどが有名である。『田舎暮らしの本』(宝島社)が毎年発表している「住みたい田舎ベストランキング」2018年度版で同市は総合部門で第3位、若者部門で第1位に選ばれている。
臼杵に移住したのは両親のほうが先だった。そしてオープンさせたのが臼杵家である。臼杵はスナックが多く、夜は比較的賑やかになる。が、泊まる場所が少ないため、地元民しか夜を楽しむことができない。そこで、ゲストハウスを作って地元民以外にも夜を楽しんでもらおうと思ったのである。
日向さんも両親に続いて約4年前、高校を卒業してから臼杵に移住。臼杵家の女将として働きはじめた。
コロナ禍前は外国人客が非常に多かったが、英語を不自由なく話すことができたので、その応対も問題なかった。幼稚園はインターナショナルスクールに通い、高校生のときにはアメリカ留学も経験していたためである。
外国人観光客に“スナック”が好評のワケ
高校生のときに下北沢のカフェでアルバイトをしていたので接客にも慣れていた。そんな彼女の接客スタイルは実にフレンドリーだ。宿泊客をおすすめのスナックに案内していっしょに飲むことも。これが外国人には特に喜ばれるという。
「フランス人を連れていったときは感動されましたね。『龍が如く』というゲームの中に出てくるスナックとそっくりだったらしいです」
それにしても、18歳という若さで東京から地方に移住することに抵抗はなかったのだろうか?
「もちろん最初は少し抵抗ありましたよ。その頃は東京が世界のすべてでしたから。でも、臼杵の人たちは私のそんな価値観をガラリと変えてくれたんです」
オシャレ坊主にも温かい目、臼杵のいちばんの魅力は「人」
移住してきた当初、日向さんはオシャレのために頭を坊主にしていた。東京でも女性のヘアスタイルとしてはかなり奇抜だが、臼杵の人々はそんな彼女を奇異の目で見ることもなく、温かく迎え入れてくれた。
また、お店はチェーン店ではなく個人商店が多いためということもあるのか、その店主も個性的で面白い人が多い。そんな地元の人たちとスナックなどで次々と繋がっていけるのが臼杵のいちばんの魅力だという。
移住者として初の商店街理事に就任
その後、日向さんは移住者としてはじめて臼杵市中央通り商店街の理事に就任。さらに臼杵市移住のポスターのモデルにも起用されている。
「東京での生活が懐かしくなることもありますが、臼杵にはそれ以上の魅力があります。これからもこの地に腰を据えて頑張っていくつもりです」
コロナ禍でテレワークが推進されていることも追い風となり、彼女のように地方移住する若者は今後さらに増えていきそうな気配だ。<取材・文/小林ていじ>
【小林ていじ】
バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeで「ていじの世界散歩」を検索。
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