国産の9価HPV ワクチンが今月24日より発売されることが先日発表されました。
HPVワクチンとは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染予防に効果的なワクチンのこと。
日本では子宮頸がんワクチンと呼ばれることが一般的であり、
こちらの呼び名なら聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
9価HPV ワクチンは2014年12月にアメリカで承認されたのをきっかけに、翌年の2月にはカナダ、
6月にはオーストラリアと欧州連合(EU)で承認され、昨年7月時点で80カ国以上の国と地域で承認されています。
日本は世界からはかけ離れた状況と言わざるを得なかった状況からほんの少し、世界の水準に近づくことができそうです。
主に性交渉によって感染するHPVには100種類以上の型があり、子宮頸がんのほとんどは高リスク型のHPVに持続的に感染することで発症します。
世界保健機関(WHO)によると、2020年には推定60万4千人の子宮頸がんが新たに診断され、34万1千人の女性がこの病気で亡くなりました。
HPVの感染によって引き起こされるのは、子宮頸がんだけではありません。
肛門がんや中咽頭がんなどもHPVの感染と関連していることがわかっています。
そのため、米国や英国、カナダ、ブラジルなどでは、これらHPV関連がんの予防に対して女子だけでなく男子への接種もすでに推奨され、接種が進んでいます。
世界では高リスク型である9つの型のHPV感染を抑える9価のHPVワクチンが標準となっているのです。
日本はというと、2013年4月から2価と4価のHPV ワクチンの定期接種(小学校6年生から高校1年生相当の女子が該当)が開始されたものの、
2カ月後には副反応の懸念から積極的な接種勧奨は中止。現在もHPV ワクチンの積極的勧奨中止の状態が続いているため、HPV ワクチンの接種率は激減しています。
なんと、1994から1999年度生まれは55.5〜78.8%あった接種率が、2000年度生まれは14.3%、2001年度生まれは1.6%、2002年度生まれは0.4%、
以降1%未満と、2000年度以降に生まれた女性のHPVワクチンの接種率が大幅に減少していたことが大阪大学の研究グループによって判明しています。
さらに、HPVワクチンの接種率が激減していた2000年度から2003年度生まれの女性では、子宮頸がん患者が約17,000人、
子宮頸がんによる死亡者が約4,000人増加する可能性が示唆されるといいます。
日本では副反応が懸念され続けているHPV ワクチンですが、HPVワクチンの有効性と安全性についてこれまで多くの研究が発表されています。
例えば、韓国で2017年にHPVワクチンの接種を受けた11歳から14歳の女子約38万人とHPVワクチンの接種を受けなかった約6万人を調べたところ、
33の深刻な有害事象とHPVワクチンの関連は認められなかったことが、今年の1月に医学誌に報告されています。
昨年の10月には、スウェーデンの研究グループが2006年から2017年の間に10歳から30歳だった約167万3千人の女性を対象として4価のHPV ワクチンの接種と
子宮頸がんの発症との関係を調べたところ、子宮頸がんの累積発生率は予防接種を受けた女性では10万人あたり47人、
予防接種を受けていない女性では10万人あたり94人と、4価のHPVワクチン接種は子宮頸がんのリスクの大幅な低下と関連していることがわかったと報告しています。
WHOは、2017年の諮問委員会による安全性に関する声明で、「HPVワクチンが承認されて以降、多くの大規模で質の高い研究・調査において、懸念されるような新たな有害事象は認められていない。
HPVワクチンは極めて安全であると考えられる」との声明を出しています。
オーストラリアのKaren氏らは、HPVワクチン接種・検診・治療の普及を達成すれば低所得国や中所得国では、今後100年で子宮頸がんによる死亡はほぼ消失するといいます。
しかしながら、日本はというと、HPVワクチンの接種のみならず、子宮頸がんの検診率は半数にも達していません。
子宮頸がんの検診率は、経済協力開発機構(OECD)加盟国30カ国の中で最低レベルです。
HPVワクチン接種や検診が普及しているとは言えない日本では、子宮頸がんに罹患する女性が増加すら示唆されているというわけなのです。
https://dot.asahi.com/dot/2021020800017.html?page=1
HPVワクチンとは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染予防に効果的なワクチンのこと。
日本では子宮頸がんワクチンと呼ばれることが一般的であり、
こちらの呼び名なら聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
9価HPV ワクチンは2014年12月にアメリカで承認されたのをきっかけに、翌年の2月にはカナダ、
6月にはオーストラリアと欧州連合(EU)で承認され、昨年7月時点で80カ国以上の国と地域で承認されています。
日本は世界からはかけ離れた状況と言わざるを得なかった状況からほんの少し、世界の水準に近づくことができそうです。
主に性交渉によって感染するHPVには100種類以上の型があり、子宮頸がんのほとんどは高リスク型のHPVに持続的に感染することで発症します。
世界保健機関(WHO)によると、2020年には推定60万4千人の子宮頸がんが新たに診断され、34万1千人の女性がこの病気で亡くなりました。
HPVの感染によって引き起こされるのは、子宮頸がんだけではありません。
肛門がんや中咽頭がんなどもHPVの感染と関連していることがわかっています。
そのため、米国や英国、カナダ、ブラジルなどでは、これらHPV関連がんの予防に対して女子だけでなく男子への接種もすでに推奨され、接種が進んでいます。
世界では高リスク型である9つの型のHPV感染を抑える9価のHPVワクチンが標準となっているのです。
日本はというと、2013年4月から2価と4価のHPV ワクチンの定期接種(小学校6年生から高校1年生相当の女子が該当)が開始されたものの、
2カ月後には副反応の懸念から積極的な接種勧奨は中止。現在もHPV ワクチンの積極的勧奨中止の状態が続いているため、HPV ワクチンの接種率は激減しています。
なんと、1994から1999年度生まれは55.5〜78.8%あった接種率が、2000年度生まれは14.3%、2001年度生まれは1.6%、2002年度生まれは0.4%、
以降1%未満と、2000年度以降に生まれた女性のHPVワクチンの接種率が大幅に減少していたことが大阪大学の研究グループによって判明しています。
さらに、HPVワクチンの接種率が激減していた2000年度から2003年度生まれの女性では、子宮頸がん患者が約17,000人、
子宮頸がんによる死亡者が約4,000人増加する可能性が示唆されるといいます。
日本では副反応が懸念され続けているHPV ワクチンですが、HPVワクチンの有効性と安全性についてこれまで多くの研究が発表されています。
例えば、韓国で2017年にHPVワクチンの接種を受けた11歳から14歳の女子約38万人とHPVワクチンの接種を受けなかった約6万人を調べたところ、
33の深刻な有害事象とHPVワクチンの関連は認められなかったことが、今年の1月に医学誌に報告されています。
昨年の10月には、スウェーデンの研究グループが2006年から2017年の間に10歳から30歳だった約167万3千人の女性を対象として4価のHPV ワクチンの接種と
子宮頸がんの発症との関係を調べたところ、子宮頸がんの累積発生率は予防接種を受けた女性では10万人あたり47人、
予防接種を受けていない女性では10万人あたり94人と、4価のHPVワクチン接種は子宮頸がんのリスクの大幅な低下と関連していることがわかったと報告しています。
WHOは、2017年の諮問委員会による安全性に関する声明で、「HPVワクチンが承認されて以降、多くの大規模で質の高い研究・調査において、懸念されるような新たな有害事象は認められていない。
HPVワクチンは極めて安全であると考えられる」との声明を出しています。
オーストラリアのKaren氏らは、HPVワクチン接種・検診・治療の普及を達成すれば低所得国や中所得国では、今後100年で子宮頸がんによる死亡はほぼ消失するといいます。
しかしながら、日本はというと、HPVワクチンの接種のみならず、子宮頸がんの検診率は半数にも達していません。
子宮頸がんの検診率は、経済協力開発機構(OECD)加盟国30カ国の中で最低レベルです。
HPVワクチン接種や検診が普及しているとは言えない日本では、子宮頸がんに罹患する女性が増加すら示唆されているというわけなのです。
https://dot.asahi.com/dot/2021020800017.html?page=1