30日午前8時39分ごろ、北陸新幹線の新高岡―金沢駅間で、線路上の機器にトラブルが生じ、富山―金沢駅を結ぶ「つるぎ」上下線計5本が運休し、「かがやき」「はくたか」計9本に遅れが生じた。列車に張り付いていた氷状の雪が走行中に落下し、機器に当たって電気系統ケーブルが損傷したのが原因とみられる。金沢開業6年目の北陸新幹線は今冬、大雪の影響で東京−金沢間で初めて2日連続で運転取りやめもあり、利用者から「雪に強いはずなのに」との声が聞かれた。
JR西日本金沢支社によると、30日は運休のほか、「かがやき」など下り線計9本に最大138分の遅れが生じ、約1140人に影響した。
機器の破損が発生したのは、新高岡駅から約17キロ金沢駅寄りの富山県内。新幹線が通過した際、車両下部に着いていた雪の塊が落下し、レール脇の機器にぶつかったとみられる。実際は車両がいないのに、走行中であるとの誤った信号を発していた。
新高岡駅で、金沢方面へ出発しようとした「つるぎ」の運転席モニターに停止信号が表示され、トラブルが発覚。富山―金沢間で一時運転を見合わせた。徐行運転で再開した後、午前11時ごろから約50分間、復旧作業のため、上越妙高―金沢間で再び運転を見合わせた。
気象庁によると、富山、金沢は30日午前、氷点下に冷え込んでいた。
金沢支社によると、どの列車から雪が落下したのかは分かっていないという。氷雪によるトラブルは、在来線では進路を切り替える線路の「ポイント」部分に雪が詰まることがある。北陸新幹線で同種のトラブルが過去にあったかどうかは「現時点では分からない」(広報担当者)としている。
北陸新幹線を巡っては、北陸地方が大雪に見舞われた1月9日に除雪のため「かがやき」5本と「はくたか」6本が運休。翌10日にも「かがやき」4本、「はくたか」2本が運転を取りやめた。
2015年3月の金沢開業以降、雪に伴う北陸新幹線の運休は、18年2月6日に徐行運転による時間調整で「つるぎ」2本が運休したのが唯一だった。
北陸新幹線は、線路脇に「貯雪スペース」を設けるなど雪対策を施している。在来線で運休が生じるような荒天でもダイヤが乱れることは少なく、JRや沿線自治体は雪への強さをアピールしてきた。
富山市の実家へ帰るため乗車した金沢市の会社員山本文香さん(30)は「北陸新幹線は雪に強いイメージがあったのでびっくりした」と話した。
年に3回ほど、仕事で利用する都内の会社員鈴木岳生さん(49)は「使いたい時に乗れないのは不便。今年は異常気象なのだろうか」と眉をひそめた。私立大の入試で金沢市を訪れたという長野市の高校3年生、黒岩歩夢さん(18)は「受験は雪の時期と重なるので心配になる」と語った。
北國新聞 2021/01/31 01:36
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