新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う緊急事態宣言の再発令で、スナックなどの夜間営業の飲食店が苦境にあえいでいる。東京都など多くの地域では午後8時までの時短営業を求められており、休業や廃業を決める店も。関係者の間からは、「いつまでこの状況に耐えなければいけなのか」といった悲痛な声が聞こえてくる。
玉袋さんスナック、売り上げ4割に
オフィス街として知られる東京・赤坂には高級料亭から居酒屋、レストランまで約3000の飲食店が軒を連ねる。その一つで平成29年2月オープンの「スナック玉ちゃん赤坂本店」は漫才コンビ「浅草キッド」の玉袋筋太郎さんがオーナーを務める店として知られ、芸能関係者だけでなくビジネスマンも多く利用する。
昨年は新型コロナ感染拡大による東京都の営業自粛要請を受け、3月31日から6月18日まで休業。その後、営業を再開したが、感染防止対策のため、カウンターやテーブルには透明なアクリル板を設置した。
最大30人は入れる広さがあるが、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保するため店内に入れる客数の上限も9人に制限。カラオケも中止にした結果、売上高はコロナ前の約4割に減った。店は緊急事態宣言再発令前日の1月7日から再び休業しており、玉袋さんは「悔しいけど今は我慢しかない」と話す。
飲食店予約管理サービスのトレタ(東京都品川区)によると、1月18〜24日の飲食店の予約率は関東で25・7%、関西で29・5%。とりわけオフィス街の多くで予約率が20%を切る状況になっているという。
飲食店の危機は何も東京だけの話ではない。人口10万人当たりのスナック数が日本一とされる宮崎県でも最大の繁華街「ニシタチ」(宮崎市)。西橘通周辺には約1200軒の飲食店が集まっていたが、昨年6月の時点で既に150軒が倒産・廃業に追い込まれ、その数は今も増え続けている。
中古厨房(ちゅうぼう)機器買い取りのテンポスバスターズ(東京都大田区)には連日、厨房機器の買い取りに関する相談が相次いでいる。担当者は「年末年始の稼ぎ時の営業自粛要請で、営業ができなかった。オーナーやママが高齢のところも多く、『いまが潮時』と考えるケースも少なくない」と話す。
持ち帰りメニュー紹介HPなど支援の輪も
もちろん飲食店側もこの事態に手をこまねいているばかりではない。玉袋さんが代表を務める全日本スナック連盟(東京都渋谷区)では、感染予防策の実例などをホームページ(HP)で発信。住宅街のスナックの中には、新たに昼間も営業をすることで高齢者や主婦などの新たな顧客の開拓に励む店も出てきているという。
苦境にあえぐ飲食店を支える動きも広がる。城南信用金庫(東京都品川区)は持ち帰りメニューがある都内の飲食店を紹介するHPを開設。川本恭治理事長は「前回の宣言の時と違い、飲食店だけがやり玉に挙げられている。飲食業は自営業の比率が高く、倒産や廃業の増加は地域社会の活力を奪ってしまう」と話す。足立成和信用金庫(東京都足立区)も地元の商店街などに同HPへの掲載を呼びかけるなど、会社の垣根を越えて支援の輪が広がっている。
不特定多数の人から資金を集めるクラウドファンディングを手がけるレディーフォー、マクアケなどは飲食店向け支援プログラムを始動。飲食店はサイトを通じて一般の人から寄付を募り、当面の運転資金を調達できる。飲食店向け求人サイトのクックビズは、1日限定アルバイトの求人検索アプリ「ワクみん」を25日に開設。営業休止の長期化で働く場をなくしている飲食店従業員を支える。
(経済本部 松村信仁)
産経新聞 2021.1.30 14:00
https://www.sankei.com/smp/premium/news/210130/prm2101300007-s1.html
玉袋さんスナック、売り上げ4割に
オフィス街として知られる東京・赤坂には高級料亭から居酒屋、レストランまで約3000の飲食店が軒を連ねる。その一つで平成29年2月オープンの「スナック玉ちゃん赤坂本店」は漫才コンビ「浅草キッド」の玉袋筋太郎さんがオーナーを務める店として知られ、芸能関係者だけでなくビジネスマンも多く利用する。
昨年は新型コロナ感染拡大による東京都の営業自粛要請を受け、3月31日から6月18日まで休業。その後、営業を再開したが、感染防止対策のため、カウンターやテーブルには透明なアクリル板を設置した。
最大30人は入れる広さがあるが、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保するため店内に入れる客数の上限も9人に制限。カラオケも中止にした結果、売上高はコロナ前の約4割に減った。店は緊急事態宣言再発令前日の1月7日から再び休業しており、玉袋さんは「悔しいけど今は我慢しかない」と話す。
飲食店予約管理サービスのトレタ(東京都品川区)によると、1月18〜24日の飲食店の予約率は関東で25・7%、関西で29・5%。とりわけオフィス街の多くで予約率が20%を切る状況になっているという。
飲食店の危機は何も東京だけの話ではない。人口10万人当たりのスナック数が日本一とされる宮崎県でも最大の繁華街「ニシタチ」(宮崎市)。西橘通周辺には約1200軒の飲食店が集まっていたが、昨年6月の時点で既に150軒が倒産・廃業に追い込まれ、その数は今も増え続けている。
中古厨房(ちゅうぼう)機器買い取りのテンポスバスターズ(東京都大田区)には連日、厨房機器の買い取りに関する相談が相次いでいる。担当者は「年末年始の稼ぎ時の営業自粛要請で、営業ができなかった。オーナーやママが高齢のところも多く、『いまが潮時』と考えるケースも少なくない」と話す。
持ち帰りメニュー紹介HPなど支援の輪も
もちろん飲食店側もこの事態に手をこまねいているばかりではない。玉袋さんが代表を務める全日本スナック連盟(東京都渋谷区)では、感染予防策の実例などをホームページ(HP)で発信。住宅街のスナックの中には、新たに昼間も営業をすることで高齢者や主婦などの新たな顧客の開拓に励む店も出てきているという。
苦境にあえぐ飲食店を支える動きも広がる。城南信用金庫(東京都品川区)は持ち帰りメニューがある都内の飲食店を紹介するHPを開設。川本恭治理事長は「前回の宣言の時と違い、飲食店だけがやり玉に挙げられている。飲食業は自営業の比率が高く、倒産や廃業の増加は地域社会の活力を奪ってしまう」と話す。足立成和信用金庫(東京都足立区)も地元の商店街などに同HPへの掲載を呼びかけるなど、会社の垣根を越えて支援の輪が広がっている。
不特定多数の人から資金を集めるクラウドファンディングを手がけるレディーフォー、マクアケなどは飲食店向け支援プログラムを始動。飲食店はサイトを通じて一般の人から寄付を募り、当面の運転資金を調達できる。飲食店向け求人サイトのクックビズは、1日限定アルバイトの求人検索アプリ「ワクみん」を25日に開設。営業休止の長期化で働く場をなくしている飲食店従業員を支える。
(経済本部 松村信仁)
産経新聞 2021.1.30 14:00
https://www.sankei.com/smp/premium/news/210130/prm2101300007-s1.html