アメリカでは1800万人以上が新型コロナウイルスの1度目のワクチン接種を終えた。
こうしてワクチンが普及し、免疫の獲得が進めば、新型コロナウイルスと我々人間との関係はどう変わるのだろうか。
米「ニューヨーク・タイムズ」の記事から、科学者らが予見する「コロナ後の世界」のシナリオをご紹介しよう。
何百万もの人々がすでに新型コロナウイルスの予防接種を受け、やっとパンデミックの収束が見えてきた。
そんななか、科学者たちはワクチンが行き渡った後の世界がどうなるか、見通しを立てている。そして、その見通しはどうやら明るそうだ。
1月12日、米「サイエンス」誌に一本の研究論文が掲載された。新型コロナウイルスは、今後も地球上に存在し続けるものの、
自然感染あるいはワクチン接種を通して、いったん大半の成人が免疫を獲得しさえすれば、普通の風邪と同様、脅威ではなくなるというという内容だ。
新型ウイルスがいま、人類を脅かす存在となっているのは、それがそのウイルスと戦うことに慣れていない大人の免疫システムを征する可能性がある、
未知の病原体だからだ。しかし、一度全員がウイルスあるいはワクチンに接すれば、もはや脅威とは言えなくなるだろう。
いっぽうで、子供は常に自分の体にとって新しい病原体にさらされている。それが、子供が大人より新型コロナウイルスに感染しにくい理由の一つであるとされる。
この研究によれば、現在パンデミックを引き起こしている新型ウイルスは、最終的に、5歳以下の子供にとってのみ懸念されるウイルスになるという。
ただ、そうした5歳以下の子供たちにとっても、症状は鼻風邪くらいのものか、あるいはまったく無症状だとしている。
つまり、新型コロナウイルスは今後、低いレベルで拡散し、ごく稀に重症化する「エンデミック(地域流行性)」になるというのだ。
「ウイルスがエンデミック化するまでにかかる時間は、そのウイルスがどれくらい速く広まるか、またどれくらい早くワクチンが人々のもとに届くかによります」。
米エモリー大学の博士研究員で、この研究を率いたジェニー・ラヴィーンはそう語る。
「そのため、肝心なことは、できるだけ早く全員に最初のワクチンを接種させることです」
ラヴィーンとそのチームは、ヒトに感染するコロナウイルス6種(普通の風邪を引き起こす4種に加えて、
SARSとMERSウイルス)を調べ、新型ウイルスの運命を読み解く手がかりをつかんだ。
風邪の原因となる4つのコロナウイルスはエンデミックであり、軽い症状しか引き起こさない。2003年と2012年に流行したSARSとMERSは、
それぞれ深刻な症状をもたらしたが、広範囲には広がらなかった。
これら既存のコロナウイルスは、いずれも似たような免疫反応を引き起こすが、新型コロナウイルスは、普通の風邪を引き起こす、
エンデミックのコロナウイルスと極めて似ていると、ラヴィーンらは仮説を立てている。
また、過去の研究データを再分析し、普通の風邪を引き起こすコロナウイルスに対してヒトは、平均して3歳から5歳で初めて感染することを発見した。
それ以後も人々は繰り返しこのウイルスに感染しながら免疫を高め、ウイルスを広め続ける可能性がある。しかし症状は出ないのだ。
ラヴィーンの研究チームは、これと同様の未来が新型コロナウイルスを待ち構えていると予測している。
どの程度のスピードでウイルスが広まるかによって、また、免疫反応の強さと継続期間によって、いつ新型コロナウイルスがエンデミック化するかは変わる。
もしそれが自然感染のみの場合、数年から数十年かかるだろうとラヴィーンは言う。
さらに、もしワクチンがないとしたら、このウイルスがエンデミック化するための最速の方法は、これまた最悪なものだ。
集団免疫の代償は、その過程における病気の蔓延と死の拡散ということになる。
しかし、ワクチンがあるいま、その計算は完全に違ってくる。効率的なワクチンの接種によって、コロナウイルスがエンデミックになるまでの期間は1年、
しくは半年にまで縮めることもできると予測されている。人々が免疫を獲得するのは早ければ早いほど良いのだ。
それでも、ワクチンがコロナウイルスを根絶する可能性は低いと推測している。
このウイルスは、より害の少ないものになるとはいえ、永続的に私たちの世界に残り続けると言える。
https://courrier.jp/news/archives/229994/
こうしてワクチンが普及し、免疫の獲得が進めば、新型コロナウイルスと我々人間との関係はどう変わるのだろうか。
米「ニューヨーク・タイムズ」の記事から、科学者らが予見する「コロナ後の世界」のシナリオをご紹介しよう。
何百万もの人々がすでに新型コロナウイルスの予防接種を受け、やっとパンデミックの収束が見えてきた。
そんななか、科学者たちはワクチンが行き渡った後の世界がどうなるか、見通しを立てている。そして、その見通しはどうやら明るそうだ。
1月12日、米「サイエンス」誌に一本の研究論文が掲載された。新型コロナウイルスは、今後も地球上に存在し続けるものの、
自然感染あるいはワクチン接種を通して、いったん大半の成人が免疫を獲得しさえすれば、普通の風邪と同様、脅威ではなくなるというという内容だ。
新型ウイルスがいま、人類を脅かす存在となっているのは、それがそのウイルスと戦うことに慣れていない大人の免疫システムを征する可能性がある、
未知の病原体だからだ。しかし、一度全員がウイルスあるいはワクチンに接すれば、もはや脅威とは言えなくなるだろう。
いっぽうで、子供は常に自分の体にとって新しい病原体にさらされている。それが、子供が大人より新型コロナウイルスに感染しにくい理由の一つであるとされる。
この研究によれば、現在パンデミックを引き起こしている新型ウイルスは、最終的に、5歳以下の子供にとってのみ懸念されるウイルスになるという。
ただ、そうした5歳以下の子供たちにとっても、症状は鼻風邪くらいのものか、あるいはまったく無症状だとしている。
つまり、新型コロナウイルスは今後、低いレベルで拡散し、ごく稀に重症化する「エンデミック(地域流行性)」になるというのだ。
「ウイルスがエンデミック化するまでにかかる時間は、そのウイルスがどれくらい速く広まるか、またどれくらい早くワクチンが人々のもとに届くかによります」。
米エモリー大学の博士研究員で、この研究を率いたジェニー・ラヴィーンはそう語る。
「そのため、肝心なことは、できるだけ早く全員に最初のワクチンを接種させることです」
ラヴィーンとそのチームは、ヒトに感染するコロナウイルス6種(普通の風邪を引き起こす4種に加えて、
SARSとMERSウイルス)を調べ、新型ウイルスの運命を読み解く手がかりをつかんだ。
風邪の原因となる4つのコロナウイルスはエンデミックであり、軽い症状しか引き起こさない。2003年と2012年に流行したSARSとMERSは、
それぞれ深刻な症状をもたらしたが、広範囲には広がらなかった。
これら既存のコロナウイルスは、いずれも似たような免疫反応を引き起こすが、新型コロナウイルスは、普通の風邪を引き起こす、
エンデミックのコロナウイルスと極めて似ていると、ラヴィーンらは仮説を立てている。
また、過去の研究データを再分析し、普通の風邪を引き起こすコロナウイルスに対してヒトは、平均して3歳から5歳で初めて感染することを発見した。
それ以後も人々は繰り返しこのウイルスに感染しながら免疫を高め、ウイルスを広め続ける可能性がある。しかし症状は出ないのだ。
ラヴィーンの研究チームは、これと同様の未来が新型コロナウイルスを待ち構えていると予測している。
どの程度のスピードでウイルスが広まるかによって、また、免疫反応の強さと継続期間によって、いつ新型コロナウイルスがエンデミック化するかは変わる。
もしそれが自然感染のみの場合、数年から数十年かかるだろうとラヴィーンは言う。
さらに、もしワクチンがないとしたら、このウイルスがエンデミック化するための最速の方法は、これまた最悪なものだ。
集団免疫の代償は、その過程における病気の蔓延と死の拡散ということになる。
しかし、ワクチンがあるいま、その計算は完全に違ってくる。効率的なワクチンの接種によって、コロナウイルスがエンデミックになるまでの期間は1年、
しくは半年にまで縮めることもできると予測されている。人々が免疫を獲得するのは早ければ早いほど良いのだ。
それでも、ワクチンがコロナウイルスを根絶する可能性は低いと推測している。
このウイルスは、より害の少ないものになるとはいえ、永続的に私たちの世界に残り続けると言える。
https://courrier.jp/news/archives/229994/