0001蚤の市 ★
2021/01/28(木) 06:31:58.17ID:lSn7rYIQ9新型コロナウイルス特別措置法改正案は、国と地方自治体に対し、休業や営業時間短縮の要請に応じた事業者への財政支援を義務付けた。だが、憲法29条の財産権に基づく損失補償とは位置付けられず、具体的な金額などは行政の裁量に委ねられる。従わない場合の罰則が導入されるのに、協力への見返りがちゃんと保障されないのはバランスを欠くとの指摘もある。
憲法29条3項は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と「正当な補償」を明記する。休業要請などは私有財産の制約に当たる可能性があるが、現行の特措法では、都道府県知事が休業などを要請、指示しても財政支援の規定がない。社会全体の利益となる公衆衛生のためには、経済活動のある程度の制約が認められると解釈されているからだ。
政府は当初、財政支援を努力規定とする方針だったが、与野党からの批判が相次ぎ、義務規定に切り替えた。それでも、財政支出が拡大することを恐れ、条文では「必要な財政上の措置を効果的に講ずる」と曖昧な規定にとどめる。
明治大学の木村俊介教授(行政法)は特措法改正案に財政支援の義務規定が盛り込まれたことについて、公衆衛生のための規制なら損失補償しないという従来の政府見解から一歩踏み込んだ「異例の対応」と前向きに評価。一方で「肝心なのは実際の支援の内容だ」として、予算にどう反映されるかが重要と話す。
野党は「影響に応じた」補償の規定を設けるよう訴えるなど、事業規模や損失に応じた補償を求める意見は根強いが、政府は「規模に応じて支援する補償的なことをやると、時間がかかる」(西村康稔経済再生担当相)と否定的だ。政府は雇用調整助成金を含め、他の制度の活用も呼び掛けるが、十分な補償とセットでなければ、事業者によっては生活のために営業を続けざるを得なくなり、対策の実効性が上がらない懸念もある。(川田篤志)=おわり
東京新聞 2021年01月28日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/82538