ツイッターに似ていて、極右団体に人気のソーシャルメディア「Gab」では、
首都ワシントンと50州の州都で大統領就任式を前に武装行動を呼びかける檄文(げきぶん)が拡散された。
この計画を機に、連邦捜査局(FBI)は全国の警察組織に警戒を呼びかけた。
(中略)
BBCモニタリングでイスラム過激主義を専門にするミナ・アル・ラミ記者によると、
過激なトランプ支持者たちが活動の場を主要SNSから代替のプラットフォームに移しているのは、危険をはらんでいると指摘する。
記者は、同様の取り締まり対象になったイスラム過激派と、状況が似ていると言う。
エンドツーエンド暗号化、つまり暗号化されたデータを利用者のみが見ることのできる、
秘匿性の高い仕組みを使った閉ざされた空間を使うことで、「極右グループの動きを探知しにくくなる」と、アル・ラミ記者は言う。
「野放図に過激化していく様子が監視できなくなる」。
加えて、トランプ派の間では疑心暗鬼も高まっている。右派SNSで公然と6日に暴力を働くよう呼びかけていたグループの間では、
自分たちの間に政府の捜査員や左派活動家が潜入していたのではと懸念する投稿が増えている。
右派SNSの所有者や管理者は、暴力を扇動する内容を投稿しないよう、利用者に呼びかけるようになった。
しかし、民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長や、選挙結果を覆してくれるとトランプ派が頼みにしていたマイク・ペンス副大統領に対する、
暴力的な脅迫は、今も幅広く続いている。
それでは、根拠のない「Qアノン」陰謀論はどうだろう。この陰謀論によって過激化した大勢が、議会襲撃に参加した。
この陰謀論を信じる人たちはいまだに、大統領就任式の日にとてつもないことが起こり、選挙結果が覆され、
トランプ氏が大統領として政権を握り続け、そして「ディープステート」の敵を一網打尽にするのだと確信している。
他方で、陰謀論を広めて暴力を扇動する可能性のあるアカウントは、意外な場所にも出現している。
たとえば、若者に圧倒的な人気のショートビデオ・プラットフォームのTikTokに、トランプ派の武装組織が大量の動画を投稿している。
過激主義やヘイト・グループを中心に研究する英シンクタンク「戦略対話研究所」のキアラン・オコナー氏は、武装組織がTikTokに投稿する動画には警戒が必要だと話す。
武装集団のメンバーが武器を用意したり、トランプ大統領が1807年の反乱法(アメリカ国内での軍投入権限を大統領に認める、
ほとんど使われたことのない法律)を発動したりしたなどと虚偽を主張する内容が、利用者に拡散されている。
TikTokは投稿内容について運営側のチェックが遅い。過激派はこれを利用しているのだと、オコナー氏は言う。
そのため規約違反で削除されるまでに、問題ある内容のビデオはかなり長いこと、TikTok上で再生されるし拡散される。
トランプ派グループの中でも特に暴力的で、激しい陰謀論を展開する勢力は、主要SNSから追い出されてインターネットのあちこちに分散した。
だからと言って、消えてなくなったわけではない。
全文はソース
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21915