2020年12月から、イギリスやアメリカを初めとする各国でコロナウイルスのワクチン接種が開始された。
中でも、世界最速ペースの接種で注目されているのがイスラエルだ。
中東の国イスラエルの人口は925万人で、東京都の人口よりも少ない。イスラエルでは12月20日にワクチン接種が開始され、
オックスフォード大学運営の「データで見る私たちの世界(Our World in Data)」によると、2021年1月5日時点で
既に人口の約16%に対する第一回目の接種が完了している。
世界で最も早くワクチン接種を開始したイギリスとアメリカでもまだ1.5%未満の人にしか接種が完了していないことと比較すると、
イスラエルの接種スピードは驚異的だと言える。イスラエルではワクチンを接種した人の数が、コロナ感染者の数を既に上回っている。
イスラエルが他国と圧倒的な差をつけてコロナ・ワクチン接種の「先進国」となった背景には、いくつかの理由が考えられる。
第一は、ネタニヤフ首相のリーダーシップとスピード感だ。
ネタニヤフはイスラエルで最初にワクチン接種を受け、その様子はテレビ中継された。
彼は1日15万人に接種可能な体制を確立し、2021年1月末までに人口の4分の1にあたる200万人以上に対し2回の接種を完了させることを目指すと述べた。
1月6日時点で、1日15万人の接種という目標は既に概ね達成されている。
ワクチン接種は医療関係者と60歳以上の高齢者、高リスク者が優先されている。
ネタニヤフは、コロナによる死者の95%を占める高齢者と高リスク者へのワクチン接種が完了すれば、
イスラエルは「世界で最初にパンデミックを克服した国になる可能性が高い」とも述べた。
またイスラエル当局は、極めて早期に製薬会社とワクチン購入の交渉を開始した旨を明らかにしており、
2020年11月にはファイザー社から800万回分(400万人に接種可能)、12月にはモデルナ社から600万回分(300万人に接種可能)のワクチンを購入する契約を締結したとされる。
加えてネタニヤフ首相は12月、製薬会社のトップにワクチン供給のスピードをあげてほしいと直接要請し前向きな回答を得た、とも述べた。
国のトップが製薬会社のトップに直談判したという話は、他国からは聞こえてこない。
第二は、常に「戦争状態」にある国だからこその危機に対する迅速な対応と強い連帯感だ。
全国に200カ所以上のワクチン接種センターが開設され、軍の衛生兵なども動員されている。
ワクチン接種は週7日間、センターによっては24時間体制で行われている。
イスラエルはユダヤ教徒が多数を占める国であり、ユダヤ教の戒律では土曜日が安息日とされ、
通常はあらゆる活動が禁止され予防接種も禁止されるものの、コロナワクチンに関しては「生命を守るため」として例外的に接種を認める法令も出された。
インターネット上にある「反ワクチン」情報を当局が検閲するなど、情報戦の面でも抜かりはない。
戦争に慣れたイスラエル国民が、国家の安全保障についての高い倫理観と、国民同士の強い連帯感を持っていることも重要だ。
野党もワクチンを政争の具に利用することはない。
イスラエルで今展開されているのは、政府主導のもとに全国民と軍が一致団結し、コロナウイルスという敵と戦う「総力戦」なのだ。
第三は、医療システムの高度なデジタル化だ。
イスラエルでは18歳の国民全員に医療保険への加入が義務付けられており、個人情報がデジタル管理されている。
ワクチン接種が可能になった人にはメールやメッセージで接種の予約をするよう通知が行き、予約を忘れた人もあとから予約を入れることができるシステムが構築されている。
イスラエル保健省長官は2020年末、2021年3月末までには大多数のイスラエル国民がワクチン接種を終えると述べた。
イスラエルでは3月23日に総選挙が予定されている。計画通りに進めば、総選挙までに国民へのワクチン接種がほぼ完了することになる。
https://www.fnn.jp/articles/-/127551
中でも、世界最速ペースの接種で注目されているのがイスラエルだ。
中東の国イスラエルの人口は925万人で、東京都の人口よりも少ない。イスラエルでは12月20日にワクチン接種が開始され、
オックスフォード大学運営の「データで見る私たちの世界(Our World in Data)」によると、2021年1月5日時点で
既に人口の約16%に対する第一回目の接種が完了している。
世界で最も早くワクチン接種を開始したイギリスとアメリカでもまだ1.5%未満の人にしか接種が完了していないことと比較すると、
イスラエルの接種スピードは驚異的だと言える。イスラエルではワクチンを接種した人の数が、コロナ感染者の数を既に上回っている。
イスラエルが他国と圧倒的な差をつけてコロナ・ワクチン接種の「先進国」となった背景には、いくつかの理由が考えられる。
第一は、ネタニヤフ首相のリーダーシップとスピード感だ。
ネタニヤフはイスラエルで最初にワクチン接種を受け、その様子はテレビ中継された。
彼は1日15万人に接種可能な体制を確立し、2021年1月末までに人口の4分の1にあたる200万人以上に対し2回の接種を完了させることを目指すと述べた。
1月6日時点で、1日15万人の接種という目標は既に概ね達成されている。
ワクチン接種は医療関係者と60歳以上の高齢者、高リスク者が優先されている。
ネタニヤフは、コロナによる死者の95%を占める高齢者と高リスク者へのワクチン接種が完了すれば、
イスラエルは「世界で最初にパンデミックを克服した国になる可能性が高い」とも述べた。
またイスラエル当局は、極めて早期に製薬会社とワクチン購入の交渉を開始した旨を明らかにしており、
2020年11月にはファイザー社から800万回分(400万人に接種可能)、12月にはモデルナ社から600万回分(300万人に接種可能)のワクチンを購入する契約を締結したとされる。
加えてネタニヤフ首相は12月、製薬会社のトップにワクチン供給のスピードをあげてほしいと直接要請し前向きな回答を得た、とも述べた。
国のトップが製薬会社のトップに直談判したという話は、他国からは聞こえてこない。
第二は、常に「戦争状態」にある国だからこその危機に対する迅速な対応と強い連帯感だ。
全国に200カ所以上のワクチン接種センターが開設され、軍の衛生兵なども動員されている。
ワクチン接種は週7日間、センターによっては24時間体制で行われている。
イスラエルはユダヤ教徒が多数を占める国であり、ユダヤ教の戒律では土曜日が安息日とされ、
通常はあらゆる活動が禁止され予防接種も禁止されるものの、コロナワクチンに関しては「生命を守るため」として例外的に接種を認める法令も出された。
インターネット上にある「反ワクチン」情報を当局が検閲するなど、情報戦の面でも抜かりはない。
戦争に慣れたイスラエル国民が、国家の安全保障についての高い倫理観と、国民同士の強い連帯感を持っていることも重要だ。
野党もワクチンを政争の具に利用することはない。
イスラエルで今展開されているのは、政府主導のもとに全国民と軍が一致団結し、コロナウイルスという敵と戦う「総力戦」なのだ。
第三は、医療システムの高度なデジタル化だ。
イスラエルでは18歳の国民全員に医療保険への加入が義務付けられており、個人情報がデジタル管理されている。
ワクチン接種が可能になった人にはメールやメッセージで接種の予約をするよう通知が行き、予約を忘れた人もあとから予約を入れることができるシステムが構築されている。
イスラエル保健省長官は2020年末、2021年3月末までには大多数のイスラエル国民がワクチン接種を終えると述べた。
イスラエルでは3月23日に総選挙が予定されている。計画通りに進めば、総選挙までに国民へのワクチン接種がほぼ完了することになる。
https://www.fnn.jp/articles/-/127551