従業員の育児休業の取得に積極的な中小企業を対象に、政府が補助金を新設することが30日、分かった。仕事と育児の両立支援で、一定の基準をクリアした企業に年50万円を支給する。育休取得に積極的な中小企業への支援を充実させ、大企業より対応が遅れている中小企業の育休取得に向けた環境整備にもつなげる。
来年1月からの通常国会に提出する予定の子ども・子育て支援法改正案に補助金の新設を盛り込む。令和3年度予算案に関連費用として、内閣府が2億円を計上した。
男性従業員の育休取得率が13%以上といった条件を満たせば厚生労働相から指定を受けられる「プラチナくるみん認定」や、同7%以上の「くるみん認定」を受けた企業が申請すれば、受給できる仕組みにする。
政府は、希望しても保育所に入所できない待機児童の解消のため、3〜6年度末の4年間で14万人分の保育の受け皿を整備する「新子育て安心プラン」を策定している。保育士の確保や保育施設の整備とともに、育休の取得促進も待機児童解消の重要な施策と位置付けており、その一環として補助金の新設を決めた。
厚労省が公表した元年度の雇用均等基本調査では、従業員数500人以上の事業所では99・8%で育休に関する規定があるのに対し、従業員数5〜29人の事業所は76・1%にとどまる。規模の小さな企業ほど人繰りなどで余裕がなく、育休取得のための環境整備が遅れている状況が浮かび上がる。
一方、中小でも従業員の育休取得に積極的に取り組んでいる先進的な企業はあり、プラチナくるみん認定は59社、くるみん認定は1311社が受けている。政府は育児休業が進んだ企業に補助金を出すことで、取り組みが不十分な多くの中小企業にも環境整備に動き出すことを期待している。
産経新聞 2020.12.30 19:07
https://www.sankei.com/politics/news/201230/plt2012300008-n1.html