「検察官の加重類型うんぬんの指摘は的外れ」 検察審査会、黒川元検事長「起訴相当」の議決要旨
会員限定有料記事 毎日新聞2020年12月24日 19時37分(最終更新 12月24日 22時13分)
https://mainichi.jp/articles/20201224/k00/00m/040/256000c
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言中に新聞記者らと賭けマージャンをしたとして、賭博容疑で告発された黒川弘務・元東京高検検事長(63)に対する東京地検の不起訴処分について、検察審査会が「起訴相当」と議決したことが関係者への取材で判明した。
検察審査会の議決要旨は次の通り。
<黒川弘務・元東京高検検事長に対する検察審査会の議決要旨>
◆議決の趣旨
本件不起訴処分は、
1 黒川元東京高検検事長について、
(1)賭博の容疑事実については、不当であり、起訴を相当とする。
(2)収賄の容疑事実については、相当である。
2 産経新聞記者A、産経新聞記者B、朝日新聞社員について、
(1)賭博の容疑事実については、不当である。
(2)贈賄の容疑事実については、相当である。
◆議決の理由
検察審査会の判断
1 賭博罪について
(1)賭博行為の成否
本件容疑事実のうち4回の賭けマージャン(@令和2年4月13日から同月14日ごろまで、A同月20日から同月21日ごろまで、B同年5月1日から同月2日ごろまで、C同月13日から同月14日ごろまで)は、いずれも刑法上の「賭博」に該当することが認められる(以下、前記4回の賭博行為をまとめて 「本件賭けマージャン」という)。
(2)常習賭博罪の成否
ア 検察官の判断
検察官は、本件賭けマージャンについて常習賭博罪(刑法第186条1項)における「常習」性が認められず、単純賭博罪(同法第185条)が成立するにとどまると判断した。
検察官は、その理由として、概略、@賭博の種別・複雑性について、マージャンが社会一般に認められる遊戯の一つであって娯楽性が高く、典型的な賭博方法にも当たらないことA賭場の性格・規模について、本件賭けマージャンが行われたのが、日常的に賭博が行われる場所ではないことB賭金や掛け率も過去に立件された事案ほど高いとは認められず、一晩に動く金額も1人当たり数千円から2万円程度で射倖(しゃこう)性が高いとはいえないことC娯楽として行われたもので、営業性が認められないこ、D期間及び度数は、比較的短期間でかつ回数も多くないこと――等を挙げる。
イ 容疑者らについて
黒川元検事長は、従前から賭けマージャンをしていたところ、法務事務次官として勤務していた平成28年以降もマスコミ関係者等との賭けマージャンを続けていた。そのメンバーの中に、朝日新聞社員、産経新聞記者B及び産経新聞記者Aも含まれていた。この当時の賭けマージャンは、いわゆるジャン荘で行われていた。
ウ 本件賭けマージャンに至る経緯
容疑者らは、黒川元検事長が東京高等検察庁検事長に就任した平成31年1月以降、マージャン卓のある産経記者A方に定期的に集まり、賭けマージャンに興じるようになった。賭けマージャンの場所を従前のいわゆるジャン荘から産経記者A方に変更したのは、黒川元検事長が検事長に就任したことをおもんぱかったものであった。ただし、この時点で賭けマージャンを止めることはなく、黒川元検事長に時間的余裕が生まれたこともあり、逆に回数が増えた。
容疑者らは、おおむね月3、4回産経記者A方に集まって賭けマージャンをすることとしていたが、賭けマージャンをしないこともあった。賭けマージャンをする場合には、夕方ごろに集まり、解散するのは最寄り駅の終電時刻よりも後となるのが通例であった。
本件賭けマージャンの当時、政府は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、緊急事態措置を実施すべき区域とて東京都等を定めた新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態を宣言し、国民に対し、人と人との接触やいわゆる「3密」の回避を要請していたが、容疑者らは、これを理由に賭けマージャンを止めることをしなかった。
以下はソース元で
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新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言中に新聞記者らと賭けマージャンをしたとして、賭博容疑で告発された黒川弘務・元東京高検検事長(63)に対する東京地検の不起訴処分について、検察審査会が「起訴相当」と議決したことが関係者への取材で判明した。
検察審査会の議決要旨は次の通り。
<黒川弘務・元東京高検検事長に対する検察審査会の議決要旨>
◆議決の趣旨
本件不起訴処分は、
1 黒川元東京高検検事長について、
(1)賭博の容疑事実については、不当であり、起訴を相当とする。
(2)収賄の容疑事実については、相当である。
2 産経新聞記者A、産経新聞記者B、朝日新聞社員について、
(1)賭博の容疑事実については、不当である。
(2)贈賄の容疑事実については、相当である。
◆議決の理由
検察審査会の判断
1 賭博罪について
(1)賭博行為の成否
本件容疑事実のうち4回の賭けマージャン(@令和2年4月13日から同月14日ごろまで、A同月20日から同月21日ごろまで、B同年5月1日から同月2日ごろまで、C同月13日から同月14日ごろまで)は、いずれも刑法上の「賭博」に該当することが認められる(以下、前記4回の賭博行為をまとめて 「本件賭けマージャン」という)。
(2)常習賭博罪の成否
ア 検察官の判断
検察官は、本件賭けマージャンについて常習賭博罪(刑法第186条1項)における「常習」性が認められず、単純賭博罪(同法第185条)が成立するにとどまると判断した。
検察官は、その理由として、概略、@賭博の種別・複雑性について、マージャンが社会一般に認められる遊戯の一つであって娯楽性が高く、典型的な賭博方法にも当たらないことA賭場の性格・規模について、本件賭けマージャンが行われたのが、日常的に賭博が行われる場所ではないことB賭金や掛け率も過去に立件された事案ほど高いとは認められず、一晩に動く金額も1人当たり数千円から2万円程度で射倖(しゃこう)性が高いとはいえないことC娯楽として行われたもので、営業性が認められないこ、D期間及び度数は、比較的短期間でかつ回数も多くないこと――等を挙げる。
イ 容疑者らについて
黒川元検事長は、従前から賭けマージャンをしていたところ、法務事務次官として勤務していた平成28年以降もマスコミ関係者等との賭けマージャンを続けていた。そのメンバーの中に、朝日新聞社員、産経新聞記者B及び産経新聞記者Aも含まれていた。この当時の賭けマージャンは、いわゆるジャン荘で行われていた。
ウ 本件賭けマージャンに至る経緯
容疑者らは、黒川元検事長が東京高等検察庁検事長に就任した平成31年1月以降、マージャン卓のある産経記者A方に定期的に集まり、賭けマージャンに興じるようになった。賭けマージャンの場所を従前のいわゆるジャン荘から産経記者A方に変更したのは、黒川元検事長が検事長に就任したことをおもんぱかったものであった。ただし、この時点で賭けマージャンを止めることはなく、黒川元検事長に時間的余裕が生まれたこともあり、逆に回数が増えた。
容疑者らは、おおむね月3、4回産経記者A方に集まって賭けマージャンをすることとしていたが、賭けマージャンをしないこともあった。賭けマージャンをする場合には、夕方ごろに集まり、解散するのは最寄り駅の終電時刻よりも後となるのが通例であった。
本件賭けマージャンの当時、政府は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、緊急事態措置を実施すべき区域とて東京都等を定めた新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態を宣言し、国民に対し、人と人との接触やいわゆる「3密」の回避を要請していたが、容疑者らは、これを理由に賭けマージャンを止めることをしなかった。
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