小林化工(本社福井県あわら市)製造の爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入した問題で、12月21日に同社を立ち入り調査した厚生労働省監視指導・麻薬対策課の田中徹課長は、健康被害が相次ぐ事態を重くみているとして「睡眠剤の混入はあり得ない。ジェネリック医薬品(後発薬)業界、医薬品産業全体の問題と受け止めている」と語った。
雪が降りしきる中、小林化工本社に入った人員は、厚労省、福井県、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の13人で、異例の規模という。大勢の報道陣に囲まれた田中課長は「健康被害の発生が大きい。最後の1錠まで回収するよう申し上げてきた」と力を込めた。
混入があった工場には、9日に県が立ち入り調査。その報告から、未承認の工程が判明し自主回収しているイトラコナゾール錠「MEEK」3種類以外の品目でも、医薬品医療機器法違反に当たるケースがあったという。「イトラコナゾール錠100、同200では原料のつぎ足しとは違う、承認にない工程があった」とも指摘し、詳細に調査を進める姿勢を見せた。
問題の錠剤を服用し、首都圏の病院に入院中に死亡した70代女性については「現時点では、因果関係があるとは聞いていない。(同社が服用との因果関係が認められる可能性が低いとしている)2例目も含め不明。調査中だ」とした。
調査結果がまとまるのは年明けになるという。「業務停止やその日数をどれくらいにするかなど、処分内容はこれから」。引き合いに出したのは、国の承認と異なる方法で血液製剤を製造したとして、2016年に110日間の業務停止を命じられた化学及(および)血清療法研究所(化血研、熊本市)の例だ。「同等か、それ以上かは分からないが、かなり厳しい処分になる」と話した。
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