●【関西】台風の目は「りそなHD」
みなと銀行は神戸を拠点とした銀行だが、同じく神戸を地盤とする但馬銀行との合併が取り沙汰されたことがあり、関西進出を狙う島根県の山陰合同銀行との統合が議論されたこともあった。
当時はメガバンク各行が、国際金融規制の見直しによって自己資本強化を迫られており、資本関係のある地銀を連結から外す動きが活発だった。つまり、親会社の意向による再編だったわけだが今回は地銀の生き残りという地銀側の理由によるところが大きい。首都圏に次ぐ経済圏である関西において、りそな入りは合理的な選択だろう。
和歌山県は紀陽銀行のシェアが奈良県は南都銀行のシェアが圧倒的に高い。経済圏を県内に限定すれば両行は安泰とも言えるが、金融庁はそうは見ていない。2018年に有識者会議がまとめた報告書によると、奈良県と和歌山県は今後、人口減少によって1行単独になっても存続できない可能性があると指摘されている。県を超えた再編があるのか注目される。
●【中国・四国】注目は各行と「山陰合同銀行」の関係性
中国地方(日本海側)は、前述の山陰合同銀行が本拠とする島根県はもちろんのこと、隣県の鳥取でも圧倒的なナンバーワンとなっている。先ほどの金融庁の報告書では、鳥取、島根の両県は1行単独でも存続が難しいエリアに指定されている。他行が山陰合同に追いつくのはかなり難しいので、島根と鳥取の経済圏は山陰合同銀行を中心に集約化が進む可能性が高い。
ちなみに島根を本拠とする島根銀行は収益が低迷する中、本社ビルを新築しその償却負担が利益を圧迫している。SBIとの資本提携に活路を見いだそうとしているが効果は未知数だ。
岡山と広島は、それぞれ中国銀行と広島銀行が県内トップを走っている。中国銀行と広島銀行はそれぞれの地域に進出しているが、統合といった話は出ていない。広島銀行は広島市という大都市を抱えているので人口減少時代においても集約化の拠点となる可能性が高く、有利な立ち位置である。
広島について言えば県内2位のもみじ銀行が下関の山口銀行と2006年に経営統合し、山口フィナンシャルグループ(山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行)の傘下に入っている。
四国では徳島の徳島大正銀行と香川の香川銀行が2010年に経営統合を実施し、トモニホールディングスを設立した。徳島は阿波銀行のシェアが高く、同行は関西や首都圏にも進出。収益率では全国でもトップクラスとなっている。香川は百十四銀行のシェアが高いことを考えると、トモニは徳島と香川のナンバーツーが経営統合し規模の拡大を目指したものと考えられる。
四国においてまだ動きが見られないのが、愛媛と高知である。愛媛は伊予銀行が、高知は四国銀行がそれぞれトップで、愛媛銀行と高知銀行が追う展開である。四国全域での統合があるのか各県での集約が進むのかが注目される。
●【九州・沖縄】「宮崎銀行」と「大分銀行」は県内トップだが……
九州は以前から大手行を中心にグループ化が進んでおり、福岡銀行、十八親和銀行、熊本銀行からなる、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)、西日本シティ銀行を中心とする西日本フィナンシャルホールディングス(西日本シティ銀行、長崎銀行)、鹿児島銀行と肥後銀行で構成される九州フィナンシャルグループ(FG)の3グループ体制となりつつある。
長崎は圧倒的なシェアを持つ十八親和(ふくおかFG)に長崎銀行(西日本FH)が挑む、長崎銀行のシェアはかなり低い。一方熊本は1位の肥後銀行(九州FG)をふくおかFGの熊本銀行が追う展開である。
宮崎と大分は、それぞれ宮崎銀行と大分銀行が強く、県内では圧倒的な立場だが、両県も先ほどの金融庁の報告書で1行単独の存続が難しいエリアとなっている。県を超えた統合などがあり得るのかが注目ポイントとなる。一方鹿児島は九州FGの鹿児島銀行が圧倒的な立場となっているが、鹿児島は2行の競争が可能な地域とされているので南日本銀行がどれだけシェアを拡大できるのか注目される。
佐賀も佐賀銀行のシェアが極めて高いが、佐賀銀行は基本的に単独路線を追求するとの立場を崩していない。佐賀には、地銀最小規模と言われる佐賀共栄銀行もあるが、同行は地域密着型の営業で高収益を実現している。佐賀共栄銀行も佐賀銀行と同様、再編には否定的であり、今のところ佐賀県は統合の流れから距離を置いている。
沖縄は琉球銀行と沖縄銀行がトップを争い沖縄海邦銀行が続く。3行で沖縄全体のほぼ9割を占めるので、県内の再編であれば、3行が対象となる可能性は高いが九州との広域連携といった選択肢もあり得るだろう。
ビジネスIT2020/12/10(長文のため抜粋)
https://www.sbbit.jp/article/fj/48268
みなと銀行は神戸を拠点とした銀行だが、同じく神戸を地盤とする但馬銀行との合併が取り沙汰されたことがあり、関西進出を狙う島根県の山陰合同銀行との統合が議論されたこともあった。
当時はメガバンク各行が、国際金融規制の見直しによって自己資本強化を迫られており、資本関係のある地銀を連結から外す動きが活発だった。つまり、親会社の意向による再編だったわけだが今回は地銀の生き残りという地銀側の理由によるところが大きい。首都圏に次ぐ経済圏である関西において、りそな入りは合理的な選択だろう。
和歌山県は紀陽銀行のシェアが奈良県は南都銀行のシェアが圧倒的に高い。経済圏を県内に限定すれば両行は安泰とも言えるが、金融庁はそうは見ていない。2018年に有識者会議がまとめた報告書によると、奈良県と和歌山県は今後、人口減少によって1行単独になっても存続できない可能性があると指摘されている。県を超えた再編があるのか注目される。
●【中国・四国】注目は各行と「山陰合同銀行」の関係性
中国地方(日本海側)は、前述の山陰合同銀行が本拠とする島根県はもちろんのこと、隣県の鳥取でも圧倒的なナンバーワンとなっている。先ほどの金融庁の報告書では、鳥取、島根の両県は1行単独でも存続が難しいエリアに指定されている。他行が山陰合同に追いつくのはかなり難しいので、島根と鳥取の経済圏は山陰合同銀行を中心に集約化が進む可能性が高い。
ちなみに島根を本拠とする島根銀行は収益が低迷する中、本社ビルを新築しその償却負担が利益を圧迫している。SBIとの資本提携に活路を見いだそうとしているが効果は未知数だ。
岡山と広島は、それぞれ中国銀行と広島銀行が県内トップを走っている。中国銀行と広島銀行はそれぞれの地域に進出しているが、統合といった話は出ていない。広島銀行は広島市という大都市を抱えているので人口減少時代においても集約化の拠点となる可能性が高く、有利な立ち位置である。
広島について言えば県内2位のもみじ銀行が下関の山口銀行と2006年に経営統合し、山口フィナンシャルグループ(山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行)の傘下に入っている。
四国では徳島の徳島大正銀行と香川の香川銀行が2010年に経営統合を実施し、トモニホールディングスを設立した。徳島は阿波銀行のシェアが高く、同行は関西や首都圏にも進出。収益率では全国でもトップクラスとなっている。香川は百十四銀行のシェアが高いことを考えると、トモニは徳島と香川のナンバーツーが経営統合し規模の拡大を目指したものと考えられる。
四国においてまだ動きが見られないのが、愛媛と高知である。愛媛は伊予銀行が、高知は四国銀行がそれぞれトップで、愛媛銀行と高知銀行が追う展開である。四国全域での統合があるのか各県での集約が進むのかが注目される。
●【九州・沖縄】「宮崎銀行」と「大分銀行」は県内トップだが……
九州は以前から大手行を中心にグループ化が進んでおり、福岡銀行、十八親和銀行、熊本銀行からなる、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)、西日本シティ銀行を中心とする西日本フィナンシャルホールディングス(西日本シティ銀行、長崎銀行)、鹿児島銀行と肥後銀行で構成される九州フィナンシャルグループ(FG)の3グループ体制となりつつある。
長崎は圧倒的なシェアを持つ十八親和(ふくおかFG)に長崎銀行(西日本FH)が挑む、長崎銀行のシェアはかなり低い。一方熊本は1位の肥後銀行(九州FG)をふくおかFGの熊本銀行が追う展開である。
宮崎と大分は、それぞれ宮崎銀行と大分銀行が強く、県内では圧倒的な立場だが、両県も先ほどの金融庁の報告書で1行単独の存続が難しいエリアとなっている。県を超えた統合などがあり得るのかが注目ポイントとなる。一方鹿児島は九州FGの鹿児島銀行が圧倒的な立場となっているが、鹿児島は2行の競争が可能な地域とされているので南日本銀行がどれだけシェアを拡大できるのか注目される。
佐賀も佐賀銀行のシェアが極めて高いが、佐賀銀行は基本的に単独路線を追求するとの立場を崩していない。佐賀には、地銀最小規模と言われる佐賀共栄銀行もあるが、同行は地域密着型の営業で高収益を実現している。佐賀共栄銀行も佐賀銀行と同様、再編には否定的であり、今のところ佐賀県は統合の流れから距離を置いている。
沖縄は琉球銀行と沖縄銀行がトップを争い沖縄海邦銀行が続く。3行で沖縄全体のほぼ9割を占めるので、県内の再編であれば、3行が対象となる可能性は高いが九州との広域連携といった選択肢もあり得るだろう。
ビジネスIT2020/12/10(長文のため抜粋)
https://www.sbbit.jp/article/fj/48268