ウッタル・プラデーシュで起こった19歳のダリット女性へのレイプ を受けて、各地で抗議運動がおこなわれた
「人間にこんなことができるのか? こんな無慈悲な犯罪行為を? だがおそらく、人間にしかできないことなのだろう」
こう書いたのは、インドのオンラインメディア「インディアン・フィード」だ。9月末、インドで報じられたある集団レイプ事件の詳細は、国中に衝撃を与えるほど惨(むご)いものだった。
ウッタル・プラデーシュ州のハトラス地区で、19歳のダリット(カースト制度から外れた、不可触民として差別されてきた人々)の女性が、上位カーストの4人の男たちにレイプされたのだ。被害者の女性は、外に引きずりだされ、舌を切られ、脊椎を折られ、その場に置き去りにされていた。
血まみれになった彼女を発見したのは、叫び声を聞いた母親だった。家族は警察に駆け込み、女性は病院に運ばれたが、残念ながら2週間後に死亡した。遺体は亡くなったその日のうちに、家族の同意がないまま警察によって火葬された。
本件ではのちに、捜査の不手際を理由として、地区の警察長を含む警察幹部ら5人が停職処分を受けた。
■途切れない被害、内容は過激化の一途
※省略
インド国家犯罪記録局(NCRB)のデータによると、2009年〜2019年にかけて、インドで起こったレイプ事件の数は5%減少した。しかし一方で、ダリット女性のレイプ被害は1346件から3486件と、159%も増加している。
また、事件の数以外にも注目すべきは、その内容だ。ダリット女性のレイプ被害は、集団レイプや殺人を伴うレイプなど、より残虐なものになっていることが、国際人権団体「イクオリティ・ナウ」とダリット女性の支援団体「スワビマン・ソサエティ」の調査から明らかになっている。
ダリットの権利活動家マニシュ・クマールは、同誌に次のように語る。
「ダリット女性のレイプ事件は今に始まったことではありませんが、最近では集団レイプやビデオで行為を撮影する、あるいは体の一部を切断するといった傾向が見られます」
■ダリット女性へのレイプが急増する理由
こうした事件が急増している理由の一つとして、「インディア・トゥデイ」はダリットに対するアファーマティブ・アクションに人々が不満を抱いていることを指摘する。
近年のインドでは、政治や教育、仕事などの各分野で、ダリットへのアファーマティブ・アクションがおこなわれている。たとえば政治においては、2008年以降、連邦議会の下院543席のうち84席が、ダリットの議席として確保されるようになった。同様の動きは各州の議会でも見られる。
ダリットは重要な票田であり、各政党はダリットを優遇して彼らの票を奪い合っている。同国最大の人口を誇るウッタル・プラデーシュ州では、2014年と2019年の総選挙でインド人民党(BJP)が勝利するのに、ダリット票が大きな役割を果たした。
そうした見返りの一つとして、BJPは2017年、ダリット出身のラム・ナート・コーヴィンドを大統領に選出した。
経済面でもダリットへの支援は増えている。9月、モディ政権は今後3年間にわたり、ダリットによるスタートアップ1000社を支援する政策を開始。ウッタル・プラデーシュ州政府も、ダリットと指定部族の起業家を支援する政策を検討するための委員会を立ち上げた。現在、インド全体では、中小企業の17%がダリットによるものだ。
■ポルノによる悪影響も
政治情勢や経済が不安定な状態が続くなか、長らく差別を受けてきたダリットへのこうした扱いに、上位カーストの者たちは不満を募らせている。そこに家父長的な文化の強いインドのセクシズムが結びついた結果、上位カーストの男性はダリット女性を攻撃するのだ。
では、レイプの内容がますます残虐になっている理由は何だろうか? インド国立精神衛生神経科学研究所の臨床心理学准教授、ヴィーナ・A・サチャナラヤナは次のように説明する。
「野蛮な犯罪が増えていることについては、さまざまな要因があります。経済の不均衡やカースト間の衝突など、社会の緊張が強まっていることもそうですし、性的・暴力的なコンテンツが、携帯電話や安価なインターネット回線により簡単に視聴できるようになったこともそうです。過去の憎しみに対する復讐としてレイプがおこなわれるとき、その暴力性は増すのです」
11/27(金) 19:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20201127-00000003-courrier-int
![【国際】残虐化するインド「最下層カースト女性への凄惨な暴行」 上位カースト、ダリットへのアファーマティブ・アクションに不満 [樽悶★]YouTube動画>1本 ->画像>1枚](https://amd-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-amd/20201127-00000003-courrier-000-1-view.jpg)
「人間にこんなことができるのか? こんな無慈悲な犯罪行為を? だがおそらく、人間にしかできないことなのだろう」
こう書いたのは、インドのオンラインメディア「インディアン・フィード」だ。9月末、インドで報じられたある集団レイプ事件の詳細は、国中に衝撃を与えるほど惨(むご)いものだった。
ウッタル・プラデーシュ州のハトラス地区で、19歳のダリット(カースト制度から外れた、不可触民として差別されてきた人々)の女性が、上位カーストの4人の男たちにレイプされたのだ。被害者の女性は、外に引きずりだされ、舌を切られ、脊椎を折られ、その場に置き去りにされていた。
血まみれになった彼女を発見したのは、叫び声を聞いた母親だった。家族は警察に駆け込み、女性は病院に運ばれたが、残念ながら2週間後に死亡した。遺体は亡くなったその日のうちに、家族の同意がないまま警察によって火葬された。
本件ではのちに、捜査の不手際を理由として、地区の警察長を含む警察幹部ら5人が停職処分を受けた。
■途切れない被害、内容は過激化の一途
※省略
インド国家犯罪記録局(NCRB)のデータによると、2009年〜2019年にかけて、インドで起こったレイプ事件の数は5%減少した。しかし一方で、ダリット女性のレイプ被害は1346件から3486件と、159%も増加している。
また、事件の数以外にも注目すべきは、その内容だ。ダリット女性のレイプ被害は、集団レイプや殺人を伴うレイプなど、より残虐なものになっていることが、国際人権団体「イクオリティ・ナウ」とダリット女性の支援団体「スワビマン・ソサエティ」の調査から明らかになっている。
ダリットの権利活動家マニシュ・クマールは、同誌に次のように語る。
「ダリット女性のレイプ事件は今に始まったことではありませんが、最近では集団レイプやビデオで行為を撮影する、あるいは体の一部を切断するといった傾向が見られます」
■ダリット女性へのレイプが急増する理由
こうした事件が急増している理由の一つとして、「インディア・トゥデイ」はダリットに対するアファーマティブ・アクションに人々が不満を抱いていることを指摘する。
近年のインドでは、政治や教育、仕事などの各分野で、ダリットへのアファーマティブ・アクションがおこなわれている。たとえば政治においては、2008年以降、連邦議会の下院543席のうち84席が、ダリットの議席として確保されるようになった。同様の動きは各州の議会でも見られる。
ダリットは重要な票田であり、各政党はダリットを優遇して彼らの票を奪い合っている。同国最大の人口を誇るウッタル・プラデーシュ州では、2014年と2019年の総選挙でインド人民党(BJP)が勝利するのに、ダリット票が大きな役割を果たした。
そうした見返りの一つとして、BJPは2017年、ダリット出身のラム・ナート・コーヴィンドを大統領に選出した。
経済面でもダリットへの支援は増えている。9月、モディ政権は今後3年間にわたり、ダリットによるスタートアップ1000社を支援する政策を開始。ウッタル・プラデーシュ州政府も、ダリットと指定部族の起業家を支援する政策を検討するための委員会を立ち上げた。現在、インド全体では、中小企業の17%がダリットによるものだ。
■ポルノによる悪影響も
政治情勢や経済が不安定な状態が続くなか、長らく差別を受けてきたダリットへのこうした扱いに、上位カーストの者たちは不満を募らせている。そこに家父長的な文化の強いインドのセクシズムが結びついた結果、上位カーストの男性はダリット女性を攻撃するのだ。
では、レイプの内容がますます残虐になっている理由は何だろうか? インド国立精神衛生神経科学研究所の臨床心理学准教授、ヴィーナ・A・サチャナラヤナは次のように説明する。
「野蛮な犯罪が増えていることについては、さまざまな要因があります。経済の不均衡やカースト間の衝突など、社会の緊張が強まっていることもそうですし、性的・暴力的なコンテンツが、携帯電話や安価なインターネット回線により簡単に視聴できるようになったこともそうです。過去の憎しみに対する復讐としてレイプがおこなわれるとき、その暴力性は増すのです」
11/27(金) 19:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20201127-00000003-courrier-int