日本学術会議が推薦した会員候補6人が任命されなかった問題で、このうち1人の研究者について、2018年に欠員が出た際の補充人事でも、会議側が首相官邸に推薦希望を伝えて、難色を示されていたことがわかった。会議はその後も研究者の推薦希望を伝えるべく説明をする機会を求めたが拒まれ、2年間補充ができなかったという。複数の会議元幹部が証言し、官邸幹部も認めた。
複数の会議元幹部によると、会議は会員1人の定年退職を間近に控えた18年夏、同年10月の総会での推薦決定をめざす補充人事案を事務局を通じて官邸に伝えた。順位をつけて候補2人の名簿を示したところ、官邸は会議側が上位に推したこの研究者に難色を示した。会議は複数回、説明を求めたが回答はなく、「理由の説明もなく希望を曲げられない」(元幹部の一人)と考え、推薦決定を見送った。
会議はその後、当時の山極寿一会長と官邸幹部との面会の場を複数回、要請。この研究者に難色を示した理由を聞き、会議側の推薦理由などについて説明する機会を求めたが、受け入れられなかったという。
会議は19年4月の次の総会で、この研究者を推薦候補として決める方針も検討したが、任命されなかったら「本人を困難な状況に追い込むかもしれない」と考え、最終的に推薦決定を見送ったという。そのまま山極会長らの任期が切れる今年9月まで欠員となった。
会議は、会員の半数が交代する今秋の交代人事では官邸への事前説明をせず、7月の総会で、この研究者を含む105人の推薦を決めて8月末に官邸に名簿を提出した。元幹部は「繰り返し説明の場を求めても官邸から拒絶された経緯があったから、粛々と手続きを踏むほかなかった」と振り返る。
別の元幹部は「(この研究者の…(以下有料版で、残り256文字)
朝日新聞 2020/10/9 5:00
https://www.asahi.com/sp/articles/ASNB87H66NB8UTIL032.html?iref=sptop_7_02