ドナルド・トランプ米大統領と民主党候補のジョー・バイデン氏による29日の大統領選候補の討論会は、最高裁判事の指名を巡る論戦で幕開けとなった。
司会を務める米FOXニュースのクリス・ウォレス氏は両氏に対し、大統領選の投票日前に最高裁の空席を埋めることについて質問。トランプ氏は「われわれは選挙で勝利しており、選挙には結果が伴うものだ。われわれは議会上院とホワイトハウスを掌握しており、素晴らしい候補がいる」とした上で、「そのため彼女を選ぶ権利がある」と続けた。
一方のバイデン氏は、米国民にも意見が反映させる「権利がある」と主張。「選挙の結果がどのようなものになるか待ってみるべきだ」と述べた。また大統領が指名した判事が承認されれば医療保険制度改革法(オバマケア)が打ち切られ、数百万人の米国民が影響を受けると指摘した。
その後、バイデン氏は、新型コロナウイルス流行に対処する準備ができていないとトランプ大統領を批判した。
トランプ氏は米ニュースサイト「アクシオス」との最近のインタビューでコロナ流行による米国の死者数の多さについて聞かれ、「それは事実だ。しかし、だからといって、われわれが最善を尽くしていないということにはならない」と述べていた。
バイデン氏は討論会でトランプ氏に対し、「あなただからこのような状況になっている」と指摘。「大統領には何の計画性もない」と非難した。
トランプ氏はコロナ流行への対応について、メディアが十分に評価していないと反論した。
さらにトランプ氏は、2016年と17年の納税額が750ドル(約7万9000円)だったと米紙ニューヨーク・タイムズが報じた件について繰り返し質問され、「数百万ドル」を支払ったと回答。また多くの人と同じように、自らも税控除によって可能な限り節税しようとしていたとも述べた。
トランプ氏は「法律を遵守している。それだけのことだ」と発言。同氏はこれまで納税記録の公表を拒否している。
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