【9月27日 AFP】10代で視力を失った中国人女性のシャオ・ジア(Xiao Jia)さん(28)が、将来選ぶべき「立派な」職業として教えられたのがマッサージ療法士だった。だが、この業界では虐待や暴力が横行し、女性たちはほとんど守られていないことを知った。
中国では、視覚障害者はマッサージ店で働くよう奨励されている。触覚が鋭いと思われているからだ。障害のある人々が当たり前のように幼い頃から社会と切り離されるこの国では、視覚障害者を雇いたがるところはほとんどなく、マッサージ療法士は実用的な職業とも見なされている。
だが、多くの目が見えない女性にとって、現実の世界は危険にあふれている。
シャオさんは、遺伝性疾患で視力を失って14年になるが、今の状況は思い描いていた将来ではない。
人権擁護団体によると、中国ではセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)を受けたことのある女性は推定40%に上る。家父長制社会で、被害者が責められる風潮が強く、保守的な同国では、性犯罪の通報と有罪判決の実現は容易ではない。セクハラの法的定義や、学校や職場でセクハラに関する規則がようやく設けられたのは、2018年になってからだ。
弁護士のリ・イン(Li Ying)氏は、中国のセクハラ新法の下で初めて訴訟を起こし、勝利した。だが、マッサージ業界で働く目の不自由な女性はさらに弱い立場にあり、性的虐待の被害を受けた実数は、障害のない女性被害者の数をはるかに上回るはずだと警鐘を鳴らしている。
「サービス業界の人々は、一般的に性的嫌がらせを受ける割合が多く、目の見えないマッサージ師の場合はさらに多い」
ミン・ユエ(Ming Yue)というニックネームで取材に応じることを求めたマッサージ療法士(24)は、10か所以上のマッサージ店で働いてきたが、どの店でも客に体をまさぐられ、辱めを受けてきたと明かした。
■恐れから警察に届け出ない
最初にそうした目に遭ったのは、まだ18歳のときだった。マッサージの最中、男性客が胸と脚を触ろうとしてきた。
10代初めに眼感染症のため失明したミンさんは、「どうしたらいいか分からなかった。そんな経験をしたことがなく、どう対処していいか誰も教えてくれなかった」と語る。
ミャオミャオ(Miaomiao)というニックネームを名乗った視覚障害者の女性は、マッサージ店で10代の見習いだったときに性的虐待を受けたと語った。客の中にはわざと下着を着けないで、ミャオミャオさんに性器を触らせようと仕向ける男性もいれば、いきなり触らせようとした客もいた。
だがAFPが取材した女性のうち、誰も警察に届け出た人はいなかった。ほとんどが恐れからだ。
「誰にも話しませんでした。話しても問題が解決しないどころか、さらに事態が悪くなったかもしれません」と、変性疾患のため8歳で視力を失ったミャオミャオさんは語った。
リ氏は、こうした状況を変えるには、障害のある人々を社会に受け入れ、法的にもっと保護することが不可欠だと主張し、当局は視覚障害者を平等に扱って、「ただ孤立させるのではなく、さらなるリソース」を提供するよう取り組むべきだと訴える。
国連(UN)の障害と開発に関する2018年の報告書によると、中国では障害者の半数近くが、指定された学校に通っている。これは調査対象となった国々の平均をはるかに上回る割合だ。(以下ソースで)
ソース (c)AFPBB News
https://news.yahoo.co.jp/articles/7e08cb199884b56f5766ca0b992dae354a784a42