今年7、8月の夏山シーズンで、静岡県内の山岳遭難事故は激減し、富士山ではゼロだったことが県警のまとめで分かった。静岡県側で富士山の遭難事故ゼロは平成2年以来、30年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、富士山頂につながる登山道が全面閉鎖されたほか、南アルプスの登山自粛などが要因とみられる。霊峰・富士は例年、大勢の登山客が押し寄せるが、事実上の“閉山”によって静寂な夏となった。
静岡県警によると、今夏の山岳遭難は前年同期比53件減の5件、遭難者数も63人減の5人=別表参照=だった。いずれも前年同期に比べて1割以下と大幅に減少した。遭難事故はいずれも単独の登山中に発生した。遭難者のうち、浜松市の20代の男性会社員が8月、川根本町の接岨峡(せっそきょう)温泉付近の山中を登山中、滑落して死亡した。残る4人は道に迷うなどしたが、無事に救出された。
県内の山岳遭難件数は例年、長野県、富山県、北海道などと並んで全国的に多いという。ただ、今シーズンは富士山の登山道閉鎖などを受け、山岳遭難救助隊がパトロール活動などで登山を控えるよう呼びかけたことも奏功し、遭難事故の激減につながったようだ。
一方、県内の水難事故は増加した。県警によると、今夏の水難事故発生件数は26件と前年同期に比べて11件増えた。千葉県に次いで全国で2番目に多かった。これに伴い、水難事故者数は4人増の28人となった。このうち15人が死傷し、13人が救出された。
新型コロナの感染防止のために一部の海水浴場が閉鎖されたが、海での水難事故が21件に上り、全体の8割を占めた。
https://www.sankei.com/life/news/200926/lif2009260036-n1.html