「トラベル」「イート」に加え、Go To キャンペーン4事業の残る2つの「イベント」「商店街」の開始も、25日の政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会で了承された。景気や雇用状況が悪化する中、政府は経済活動の活性化に向けてかじを切る。だが、コロナは収束しておらず、感染拡大防止と経済活動を両立させるには、アクセルだけでなく、ブレーキの用意も不可欠だ。(井上靖史、藤川大樹)
◆「感染防止と経済活動を両立」
「大きな方向として、感染は減少傾向だ。深夜の飲み会など感染リスクを高めやすい場面に注意し、新たな日常を慎重に着実に定着させていくこと、感染防止対策と社会経済活動を両立させていくことが大事だ」
西村康稔経済再生担当相は分科会終了後の記者会見で満足そうな表情を見せた。チケット代の2割相当を補助する「Go To イベント」と、集客イベントなどで1商店街あたり最大300万円を支援する「GoTo商店街」開始が分科会で了承された。
政府は19日、プロ野球や映画などイベントの入場制限の緩和に踏み切った。10月1日から「Go To トラベル」に東京発着の旅行を加えることも既定路線だった。
◆景気の冷え込み背景に
政府が経済活性化対策を急ぐ背景には、景気の大幅な冷え込みがある。
「緊急事態宣言」の発令期間が含まれる2020年4〜6月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除く実質で前期比年率28.1%減と、戦後最悪のマイナス成長を記録した。7〜9月期はプラス成長となる見通しだが、個人消費の回復は弱い。
厚生労働省によると、新型コロナの感染拡大に関連する解雇や雇い止めは、5月下旬に1万人を超え、今月23日時点で、見込みも含めて約6万400人に増えた。このところ、増加のスピードが速まっている。
◆感染防止策の徹底を念押し
国内の感染状況は予断を許さない。この日の分科会の議論でも、人の動きが活発になった19〜22日の4連休の影響が分析できていないことから、「感染状況が広がった場合には、中止するような仕掛けが必要だ」などの意見が委員から出た。
意見を踏まえ、分科会は「Go To」事業推進にあたり、感染防止策の徹底を念押しする「人の移動に関する分科会から政府への提言」をまとめた。尾身茂会長は「(感染拡大の)予兆があった時、政府に対して(社会経済活動の抑制を)申し上げるのが、われわれの責務だと考えている」と強調する。
だが、分科会が了承する前に、赤羽一嘉国土交通相は、Go To トラベルへの東京発着追加に「変更はない」と記者会見で話し、分科会に意見を聞く予定はないと明言していた。
菅義偉首相は16日の就任会見で、コロナ対策をした上で「社会経済活動との両立を目指します」と経済重視の姿勢を表明している。分科会の提言が歯止めとなるかは見通せない。
東京新聞 2020年9月26日 05時50分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/57831
◆「感染防止と経済活動を両立」
「大きな方向として、感染は減少傾向だ。深夜の飲み会など感染リスクを高めやすい場面に注意し、新たな日常を慎重に着実に定着させていくこと、感染防止対策と社会経済活動を両立させていくことが大事だ」
西村康稔経済再生担当相は分科会終了後の記者会見で満足そうな表情を見せた。チケット代の2割相当を補助する「Go To イベント」と、集客イベントなどで1商店街あたり最大300万円を支援する「GoTo商店街」開始が分科会で了承された。
政府は19日、プロ野球や映画などイベントの入場制限の緩和に踏み切った。10月1日から「Go To トラベル」に東京発着の旅行を加えることも既定路線だった。
◆景気の冷え込み背景に
政府が経済活性化対策を急ぐ背景には、景気の大幅な冷え込みがある。
「緊急事態宣言」の発令期間が含まれる2020年4〜6月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除く実質で前期比年率28.1%減と、戦後最悪のマイナス成長を記録した。7〜9月期はプラス成長となる見通しだが、個人消費の回復は弱い。
厚生労働省によると、新型コロナの感染拡大に関連する解雇や雇い止めは、5月下旬に1万人を超え、今月23日時点で、見込みも含めて約6万400人に増えた。このところ、増加のスピードが速まっている。
◆感染防止策の徹底を念押し
国内の感染状況は予断を許さない。この日の分科会の議論でも、人の動きが活発になった19〜22日の4連休の影響が分析できていないことから、「感染状況が広がった場合には、中止するような仕掛けが必要だ」などの意見が委員から出た。
意見を踏まえ、分科会は「Go To」事業推進にあたり、感染防止策の徹底を念押しする「人の移動に関する分科会から政府への提言」をまとめた。尾身茂会長は「(感染拡大の)予兆があった時、政府に対して(社会経済活動の抑制を)申し上げるのが、われわれの責務だと考えている」と強調する。
だが、分科会が了承する前に、赤羽一嘉国土交通相は、Go To トラベルへの東京発着追加に「変更はない」と記者会見で話し、分科会に意見を聞く予定はないと明言していた。
菅義偉首相は16日の就任会見で、コロナ対策をした上で「社会経済活動との両立を目指します」と経済重視の姿勢を表明している。分科会の提言が歯止めとなるかは見通せない。
東京新聞 2020年9月26日 05時50分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/57831