三井住友銀行の初代頭取を務めた西川善文さんが亡くなった。不良債権処理や経営統合など金融難局の時代を乗り切り、「最後のバンカー」と呼ばれた。一方で、日本郵政社長時代には「かんぽの宿売却問題」などで政治問題に巻き込まれ、辞任に追い込まれた。下からの積み上げではなく、トップダウンでの判断を重視し、時に波風を立てながら金融激動の時代を駆け抜けた人生だった。
y 住友銀行では、総合商社の安宅産業、イトマンなど不良債権処理で頭角をあらわし、1997年に頭取に就任。大和証券との提携やさくら銀行との経営統合を実現し、三井住友銀初代頭取に就いた。記者会見など公の場でも事務局の作った資料に頼らず、常に自分の言葉で語る姿勢を貫いた。
2004年には、経営危機に陥ったUFJホールディングスをめぐり、三菱東京フィナンシャル・グループとの争奪戦に。結局、UFJは三菱東京との経営統合を選び、統合は実現できなかった。この争奪戦を著書「ザ・ラストバンカー」の中で振り返り、「大魚を逃した」と表現して悔しさをにじませた。
銀行を退任後の06年、小泉純…(以下有料版で、残り727文字)
朝日新聞 2020/9/12 1:29
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