文部科学省は3日、全国の小中高校と特別支援学校で6〜8月、1166人の児童生徒の新型コロナウイルスへの感染が確認されたと発表した。このうち約7割は8月に確認されたケースとみられる。文科省は「国内の感染者数が増大し、親から子どもへの感染が増えているのが実態だ。学校から地域に大きく広がった事例はない」としている。
感染経路で見ると、家庭内感染が655人(56%)と過半数を占めた。校内感染は、島根県の私立高校の寮で生活するサッカー部員らを中心に発生した100人を超える大規模クラスター(感染者集団)も含めて180人(15%)にとどまった。
8月は高校の運動部での集団感染が目立っており、5人以上の感染が5件あった。大学の運動部でも5人以上の感染が7件起きた。このため文科省は、練習中や対外試合への移動中の「3密」を回避するなど、運動部の感染対策を徹底するよう全国の教育委員会や大学などに通知した。寮生活を伴う場合、発熱などが見られた部員については症状が治まった後も2日間は隔離する▽体調不良者が3人以上出た場合は医療機関に相談する――などの対応を例示した。
文科省は通知に合わせて、小中高校などでの感染防止対策を定めた衛生管理マニュアルも改定。政府の有識者会議「新型コロナウイルス感染症対策分科会」が示した4段階の流行状況などを参考に、学校における3段階の警戒レベルの対応を見直した。最もリスクの高いレベル3では子ども同士ができるだけ2メートル程度の身体的距離を保つこととし、レベル1〜2は1メートルを目安とした。また、使用が広がるフェースシールドについては「マスクをせずに使っていた状況で感染が疑われる事例があった」として、マスクなしで着用する場合は身体的距離を取ることが望ましいとの見解を示した。【大久保昂】
毎日新聞 2020年9月3日 19時25分(最終更新 9月3日 21時45分)
https://mainichi.jp/articles/20200903/k00/00m/040/174000c