毎日新聞
佐渡汽船の高速カーフェリーあかね=米田堅持撮影
佐渡汽船は7日、慢性的な赤字が続く小木(新潟県佐渡市)―直江津(同上越市)航路について、2015年に就航した高速カーフェリー「あかね」(5702トン、628人乗り)を売却し、21年4月から高速船ジェットフォイルに切り替えることを決めた。船体が小さい高速船への転換で費用を削減し、収支改善を図る。【井口彩】
この日の取締役会で決定。新潟県庁であった県や地元自治体、国の運輸局などでつくる「佐渡航路確保維持改善協議会」で尾崎弘明社長が明らかにした。
あかねは豪州製の双胴型フェリーで、以前のフェリーより1時間短い1時間40分で同航路を結ぶ。北陸新幹線開業による関西・北陸からの観光客増加を見込み、佐渡・上越市などの資金支援を受けて15年4月に導入した。しかし佐渡市の人口減などで利用客が減少。あかね導入の初年度は目標に近い約18万人が利用したが、現在は約12万人と約3分の2になり、同社の経営を圧迫する要因となっていた。
このため同社は、あかねを売却し、すでに新潟航路(新潟市)―両津(佐渡市)で就航している高速船を1隻、新たに調達することを決めた。調達には、あかねの売却益のほか、自治体の補助金や国土交通省所管の独立行政法人「鉄道・運輸機構」の支援制度などを使う。あかねの売却先や、購入かリースかの調達方法は検討中。
尾崎社長は報道陣の取材に、高速船への転換で同航路の赤字額約10億円を4億円ほど圧縮できるとの試算を示した。同社によると、船体の特徴で波が高い時に揺れやすかった問題も解決できるという。「結果として5年で替えるのは申し訳ないが、(このままでは)維持がかなわなくなっている。運航形態を変えながら、航路自体は続けていきたい」と理解を求めた。
高速船の導入で所要時間は現在より短くなるが、運賃は値上がりする見込み。現行は片道3970円(大人2等)だが、同航路より短距離の、新潟両津航路の高速船運賃(6640円)よりも高くなる予定だ。
同航路は国道350号の海上区間になっている。高速船へ転換すると乗用車が運べなくなるが、県によると、国道指定に影響はない見通しだ。
佐渡市の渡辺竜五市長は「佐渡と本土を結ぶ海上国道にも指定された生活航路であり、引き続きこの航路を維持すべきだ。今後、協議会で十分な議論を交わしていくべきだ」とのコメントを発表した。
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