2020年7月5日 19時35分
300年余り前に富士山で起きた宝永噴火について新たな発見です。噴火による火山灰で集落全体が埋まったとされている静岡県小山町の須走地区で、当時の家屋の一部が初めて見つかりました。黒く焼け焦げていたことなどから高温の軽石によって燃えた可能性が高く、専門家は「富士山の噴火対策を考えるうえで重要な発見だ」としています。
富士山のふもと、静岡県小山町の須走地区には江戸時代に須走村の集落がありましたが、1707年に発生した宝永噴火で火山灰が3mほど降り積もって埋没したとされています。
さらに現在はその上に街が作られているため、須走村の集落が埋まった記録は古文書などに残されるだけで、実際に家屋が見つかったことはありませんでした。
火口近くにあった須走村の集落がどのような被害を受けたのか明らかにしようと、去年6月、小山町と、考古学や火山の専門家で作る研究チームが初めての発掘調査を行いました。
調査は初めは重機で行われ、20センチ余り掘ると、宝永噴火で噴出した火山灰や軽石などの層が出てきました。
さらに人の手も使って掘り進めると、2mほどの深さの場所に、
▽家屋の「柱」とみられる2本の四角い木材のほか、
▽家屋の「壁」や「わらぶき屋根」の一部が、次々と見つかりました。
宝永噴火で埋もれた須走村の家屋が見つかるのは今回が初めてです。
さらに、こうした木材は黒く焼け焦げていたうえ、内部が赤くなった軽石も見つかったことから、研究チームは、噴火で飛んできた高温の軽石によって家屋が燃えた可能性が高いとみています。
今後、研究チームは、家屋が噴火のどの段階で、どのように燃えたのかなど、検証を進めていくことにしています。
調査に参加した小山町教育委員会の金子節郎さんは「燃えた柱が出てきた時には震えるほどの興奮があり、これまで古文書しかなかった村の歴史について実際に裏付けがとれたのは大きな成果だ。発掘で分かったことを今後の防災に生かしていくとともに、今後もこまめな調査を行って遺跡を大事に保存していきたい」と話していました。
研究チームのリーダー、東京大学の杉山浩平特任研究員は「富士山の噴火で住宅が燃えたことが実証され、噴火対策を考えるうえで重要な手がかりになる」と話していました。
分厚い火山灰に覆われた須走地区
===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200705/k10012497531000.html