外出自粛によって家にいる時間が増え、生活の中心が「食」になった。自宅にいる時間を有効活用するため、普段よりも凝った料理や菓子作りに挑戦する人が増えた。スーパーでは一時、小麦粉やプレミックスが品薄となる中、和菓子原料である白玉粉の売れ行きが好調だ。
子どもと手作りする家庭内レジャーの要素も
4〜5月の家庭用白玉粉の販売が前年比5倍となったメーカーもある。近年は外食やコンビニでも白玉を使ったメニューや商品が増え、もちもち感を出す食材として需要が広がっている。巣ごもりを機に一躍脚光を浴びる「白玉」が、空前のブームとなったタピオカに続く人気食材となるか注目される。
新型コロナの影響で学校などが休校となり、幼児や児童が家庭にとどまる中、家庭での内食・間食需要が膨らんだ。子どもと一緒に作れる粉物料理は人気があり、それらの食材は販売が好調だ。
「玉三白玉粉」でおなじみの川光物産は、4〜5月の家庭用白玉粉の販売が前年比約5倍と過去に例を見ない伸びを示す。家庭用米粉のトップメーカー、みたけ食品工業も同250%増と大幅伸長。乾物専門問屋の萬藤は同154%増となった。
伸長の要因は、学校休校などの巣ごもりにより家庭での菓子作り需要が増加。その中で、白玉作りも加わったことが予想される。一時はスーパーの棚から小麦粉が消え、また家庭で作るデザートの代表格である、ホットケーキやケーキミックス、ゼリーの素が欠品し、和粉にシフトしたことも大きい。
休校中の4月10日に放送されたTVアニメ「アンパンマン」に白玉のキャラクターが登場したことも、購入のきっかけの一因となったことが考えられる。
子どもと一緒に楽しみながら作る家庭内レジャーとしての要素も大きい。こねて丸めてゆでるだけなので、子どもでも楽しく作れたようだ。「和スイーツの粉としては比較的簡単に作れるため、今回のコロナ自粛で家庭で手作りした経験で需要が広がれば」(萬藤の蔀浩之社長)と期待する。
家庭用が好調の一方、業務用は新型コロナによる営業自粛の影響から、特に冷凍白玉が大打撃を受けた。学校給食、外食向けが3〜4月は止まり、居酒屋などの和スイーツメニューも大きく落とした。観光地の甘味屋にも影響した。ただ、緊急事態宣言解除後は業務用も徐々に回復傾向にあるようだ。
近年の市場について、家庭用は若干の縮小傾向。「新型コロナ以前は目立たず、地味な商品であった」(一神商事の石井厚氏)。一方、業務用は需要が拡大している。コンビニ、スーパー、外食ともにデザートアイテムの1つとして採用されることが多い。特に簡便性の高い冷凍白玉が普及し、アイス向けなど新たな用途も出てきている。
各種メーカーからはもちもち感を出す食材として注目されている。同じもちもち食感で、白玉が「第2のタピオカ」となるか期待される。
今後の見通しとしてしばらくは夏季ということもあり好調が続きそうだ。「今回の巣ごもり需要で、家庭用白玉粉が消費者の中で手軽な手作りおやつ、家庭内での過ごし方の1つとして見直され、新規購入者が増えたことによる白玉粉の底上げが期待される」(川光物産)、「家庭での和菓子作りは衰退傾向にあったが、コロナの影響で見直され、特に白玉作りは簡単に調理できるものとしてアピールできる良いきっかけとなった。大きく増える期待が見られ、チャンスを生かす働きかけが重要」(みたけ食品工業)と、今後への期待に口を揃える。
輸出については問い合わせや数量が徐々に増えており、海外のスーパー、日本食材店向けに安定した需要がある。ただ、新型コロナの影響で注文が直前でキャンセルとなったケースも多い。国全体として和食文化を発信し、また海外での和食ニーズの増加に伴い、和の甘味の代表格である白玉も採用が多くなっていることが予想される。
原料のもち米は夏季の天候に左右されやすく、うるち米より手間がかかり、最近は原料の確保に苦労しているようだ。また、昨今の気象災害の影響が懸念されている。うるち米のみならず、もち米も政府の積極的な支援策が望まれる。
7/3(金) 12:09配信 日本食糧新聞社
https://news.yahoo.co.jp/articles/d6caa866bbccf04f351a571dee177e0db98519d2
夏は「白玉パフェ」、冬は「白玉ぜんざい」など夏冬それぞれに需要がある(写真提供=川光物産)
子どもと手作りする家庭内レジャーの要素も
4〜5月の家庭用白玉粉の販売が前年比5倍となったメーカーもある。近年は外食やコンビニでも白玉を使ったメニューや商品が増え、もちもち感を出す食材として需要が広がっている。巣ごもりを機に一躍脚光を浴びる「白玉」が、空前のブームとなったタピオカに続く人気食材となるか注目される。
新型コロナの影響で学校などが休校となり、幼児や児童が家庭にとどまる中、家庭での内食・間食需要が膨らんだ。子どもと一緒に作れる粉物料理は人気があり、それらの食材は販売が好調だ。
「玉三白玉粉」でおなじみの川光物産は、4〜5月の家庭用白玉粉の販売が前年比約5倍と過去に例を見ない伸びを示す。家庭用米粉のトップメーカー、みたけ食品工業も同250%増と大幅伸長。乾物専門問屋の萬藤は同154%増となった。
伸長の要因は、学校休校などの巣ごもりにより家庭での菓子作り需要が増加。その中で、白玉作りも加わったことが予想される。一時はスーパーの棚から小麦粉が消え、また家庭で作るデザートの代表格である、ホットケーキやケーキミックス、ゼリーの素が欠品し、和粉にシフトしたことも大きい。
休校中の4月10日に放送されたTVアニメ「アンパンマン」に白玉のキャラクターが登場したことも、購入のきっかけの一因となったことが考えられる。
子どもと一緒に楽しみながら作る家庭内レジャーとしての要素も大きい。こねて丸めてゆでるだけなので、子どもでも楽しく作れたようだ。「和スイーツの粉としては比較的簡単に作れるため、今回のコロナ自粛で家庭で手作りした経験で需要が広がれば」(萬藤の蔀浩之社長)と期待する。
家庭用が好調の一方、業務用は新型コロナによる営業自粛の影響から、特に冷凍白玉が大打撃を受けた。学校給食、外食向けが3〜4月は止まり、居酒屋などの和スイーツメニューも大きく落とした。観光地の甘味屋にも影響した。ただ、緊急事態宣言解除後は業務用も徐々に回復傾向にあるようだ。
近年の市場について、家庭用は若干の縮小傾向。「新型コロナ以前は目立たず、地味な商品であった」(一神商事の石井厚氏)。一方、業務用は需要が拡大している。コンビニ、スーパー、外食ともにデザートアイテムの1つとして採用されることが多い。特に簡便性の高い冷凍白玉が普及し、アイス向けなど新たな用途も出てきている。
各種メーカーからはもちもち感を出す食材として注目されている。同じもちもち食感で、白玉が「第2のタピオカ」となるか期待される。
今後の見通しとしてしばらくは夏季ということもあり好調が続きそうだ。「今回の巣ごもり需要で、家庭用白玉粉が消費者の中で手軽な手作りおやつ、家庭内での過ごし方の1つとして見直され、新規購入者が増えたことによる白玉粉の底上げが期待される」(川光物産)、「家庭での和菓子作りは衰退傾向にあったが、コロナの影響で見直され、特に白玉作りは簡単に調理できるものとしてアピールできる良いきっかけとなった。大きく増える期待が見られ、チャンスを生かす働きかけが重要」(みたけ食品工業)と、今後への期待に口を揃える。
輸出については問い合わせや数量が徐々に増えており、海外のスーパー、日本食材店向けに安定した需要がある。ただ、新型コロナの影響で注文が直前でキャンセルとなったケースも多い。国全体として和食文化を発信し、また海外での和食ニーズの増加に伴い、和の甘味の代表格である白玉も採用が多くなっていることが予想される。
原料のもち米は夏季の天候に左右されやすく、うるち米より手間がかかり、最近は原料の確保に苦労しているようだ。また、昨今の気象災害の影響が懸念されている。うるち米のみならず、もち米も政府の積極的な支援策が望まれる。
7/3(金) 12:09配信 日本食糧新聞社
https://news.yahoo.co.jp/articles/d6caa866bbccf04f351a571dee177e0db98519d2
夏は「白玉パフェ」、冬は「白玉ぜんざい」など夏冬それぞれに需要がある(写真提供=川光物産)