2015年に北海道立稚内高(稚内市)の男性教諭(当時34歳)が自殺したのは、先輩教諭によるパワハラなどで精神的に追い詰められたことが原因として、仙台市在住の両親が道に約7000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は1日、道に約2530万円の支払いを命じた。中島基至裁判長は「先輩教諭からの度重なる注意で男性教諭がうつ状態になっていたのに、校長らが配慮義務を怠った」と述べた。
判決によると、男性は13年度から同校(定時制)の英語教諭として勤務。15年4月に先輩教諭が担任を務めるクラスの副担任となったが、生徒の指導方法について繰り返し注意を受け、同6月にうつ病と診断された。同7月、先輩教諭から更に注意を受けた後に自殺した。
訴訟で、両親は「先輩からの度重なる注意や過重労働が原因で自殺した」と主張。地裁は、男性が先輩から「(教師に)向いていない」と約40分にわたり注意されるなどしたとして「度重なる注意は、業務上必要かつ相当な範囲を超えていた」と認定しつつ、先輩教諭が男性のうつ状態を知らなかったとして「更なる注意で自殺に至ることを予見するのは困難だった」と行為の違法性を否定した。
その上で、男性がうつ状態と診断されたことを報告されていた校長や教頭の対応について検討。「校長らは先輩教諭に注意を控えるよう促したり、接触する機会を減らしたりするなどの安全配慮義務を怠った」として自殺との因果関係を認めた。一方、過重労働との原告主張は退けた。
両親は代理人弁護士を通じ「学校の安全配慮義務違反が認められたことは評価する」とのコメントを出した。また、道教育庁の池野敦・総務政策局長は「今後の対応は判決書の内容を十分に検討し、判断する」としている。【藤田花】
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毎日新聞 2020年7月1日 22時04分(最終更新 7月1日 22時05分)
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