猿渡由紀 | L.A.在住映画ジャーナリスト
7/1(水) 6:07
現代アメリカ喜劇の巨匠のひとり、カール・ライナーが亡くなった。享年98歳。西海岸時間6月29日、ビバリーヒルズの自宅で、家族に囲まれて息を引きとったという。
その時が近づいているのを感じていたのか、彼は、死の2日前、ツイッターに、「才能豊かなエステル(ステラ)・ルボストに出会い、結婚したことで、私は最高に幸せな人生を送ることができました。そのことに、大きな喜びを感じます。私たちは、多くを必要とし、変化をし続けるこの世の中に、(夫妻の子供)ロブ、アニー、ルーカスを連れてきたのです」と投稿している。アメリカの政治について思い残すことも多かったようで、その翌日には、「朝7時半に起き、どの文明国のリーダーにもふさわしくない腐敗したビジネスマンが選挙を迎えるまでの日を、また1日生きなければいけないのかと思うと、悲しくなりました」「この国のリーダーとなる資格がすべて揃っていたヒラリー・クリントンは、ロシアの操り人形である大統領よりも、国民の票を300万枚も多く獲得したのに」とツイートしていた。
コメディアン、俳優、コメディライター、映画監督として、70年も活躍。昨年も、「トイ・ストーリー4」に声の出演をしている。最近ではまたスティーブン・ソダーバーグの「オーシャンズ11」3部作に出演。ほかに、日本人に馴染みのある昔の出演作には、ディック・ヴァン・ダイク、ジェームズ・ガーナーらと共演した「恋するパリジェンヌ」、アラン・アーキン共演の「アメリカ上陸作戦」などがある。監督としては、「オー!ゴッド」、「ワン・アンド・オンリー」、スティーブ・マーティンの映画デビュー作「天国から落ちた男」、「スティーブ・マーティンの四つ数えろ」、「オール・オブ・ミー/突然半身が女に!」などを作った。
しかし、彼が最も大きな貢献をしたのは、初期のテレビ界だ。50年代、当時トップのコメディアンだったシド・シーザーの番組「Your Show of Shows」や「Caesar’s Hour」に出演するほか、メル・ブルックス、ニール・サイモンなどと共にライターも務め、「Saturday Night Live」にもつながるアメリカのコメディ番組の基盤を作ったのである。駆け出しのコメディライターとしてチームに入れてもらえたウディ・アレンも、今年出版された回顧録で、ライナーも名指ししつつ、このグループがいかに最高級だったかを振り返っている。
===== 後略 =====
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https://news.yahoo.co.jp/byline/saruwatariyuki/20200701-00185956/