四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)で建設される使用済み核燃料の乾式貯蔵施設の安全対策について、原子力規制委員会は24日、国の新規制基準を事実上満たすと判断した。東京電力福島第1原発事故後に新設されるものでは初めて。使用済み核燃料を保管するプールの満杯前に貯蔵先のめどは立ったが、使用済み核燃料を再利用する国の核燃料サイクル政策は行き詰まっており、貯蔵後の核燃料の行き場は不透明だ。
乾式貯蔵施設では、使い終わって約15年間プールで冷やした核燃料を「キャスク」と呼ばれる円筒状の金属製容器に入れて空気で冷やし、1200体まで保管できる。四電は2021年11月に着工し、24年度内の運用開始を目指す。一時的な保管が目的で、使用済み核燃料は最終的に再利用のため日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)に運ばれるとされているが、具体的な計画はない。
乾式は冷やすのに電気を使わないので、災害で停電になっても核燃料の冷却が止まって溶け出す危険性が、プールでの冷却より低いとされている。伊方原発のプールで保管できる使用済み核燃料は最大2249体で、運転が続けば26年ごろに満杯になる見通しだが、乾式貯蔵施設が完成すれば、さらに約20年分の余裕が生まれるという。四電は「キャスクは60年間安全に使用できる」とする。
ただ、再処理工場は安全審査の通過に向け規制委の手続きが進んでいるものの、実際に稼働できるかは見通せていない。伊方原発の乾式貯蔵施設での保管が常態化すれば、事実上の最終処分地となることが懸念される。さらに、プルトニウムとウランを混ぜて加工したMOX燃料を使った発電もしているが、乾式貯蔵施設で使用済みMOX燃料の保管は想定されていない。
乾式貯蔵施設は原発事故前、福島第1原発と日本原子力発電の東海第2原発(茨城県東海村)に設置された。中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)などでも計画されている。【塚本恒】
毎日新聞 2020年6月24日 21時26分(最終更新 6月24日 21時26分)
https://mainichi.jp/20200624/k00/00m/020/258000c
乾式貯蔵施設では、使い終わって約15年間プールで冷やした核燃料を「キャスク」と呼ばれる円筒状の金属製容器に入れて空気で冷やし、1200体まで保管できる。四電は2021年11月に着工し、24年度内の運用開始を目指す。一時的な保管が目的で、使用済み核燃料は最終的に再利用のため日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)に運ばれるとされているが、具体的な計画はない。
乾式は冷やすのに電気を使わないので、災害で停電になっても核燃料の冷却が止まって溶け出す危険性が、プールでの冷却より低いとされている。伊方原発のプールで保管できる使用済み核燃料は最大2249体で、運転が続けば26年ごろに満杯になる見通しだが、乾式貯蔵施設が完成すれば、さらに約20年分の余裕が生まれるという。四電は「キャスクは60年間安全に使用できる」とする。
ただ、再処理工場は安全審査の通過に向け規制委の手続きが進んでいるものの、実際に稼働できるかは見通せていない。伊方原発の乾式貯蔵施設での保管が常態化すれば、事実上の最終処分地となることが懸念される。さらに、プルトニウムとウランを混ぜて加工したMOX燃料を使った発電もしているが、乾式貯蔵施設で使用済みMOX燃料の保管は想定されていない。
乾式貯蔵施設は原発事故前、福島第1原発と日本原子力発電の東海第2原発(茨城県東海村)に設置された。中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)などでも計画されている。【塚本恒】
毎日新聞 2020年6月24日 21時26分(最終更新 6月24日 21時26分)
https://mainichi.jp/20200624/k00/00m/020/258000c