6/22(月) 8:25
毎日新聞
1893年創業の老舗和菓子店廃業 看板商品「くうや観助餅」製造終了 三重
くうや観助餅1
今月末で廃業する創業約130年の老舗和菓子店、鈴木翠松軒の本店(三重県伊勢市二見町茶屋)で21日、最後の店頭営業が行われた。廃業後、看板商品「くうや観助餅」を別会社が引き継ぐ案も検討されていたが、この日限りで製造は終了することとなった。【尾崎稔裕、小沢由紀】
【大阪・新世界のシンボル「づぼらや」も閉店へ】
三重県内のショッピングセンターや高速道路のパーキングエリアなどでも同餅は販売されてきたが、ほとんどの販売先への商品納入を20日で打ち切った。各店で商品が売り切れても追加の納入はない。このため、作りたての餅が直営店で購入できるのは21日が最後のチャンス。本店では20日に過去最高の売り上げを記録したため最終日には、急きょ2000箱以上を用意した。
午前9時の開店から大勢のファンが入れ代わり立ち代わり訪れ、「6個入り三つ、8個入り五つ……」と、まとめ買い。「1カ月ぐらいなら冷凍して自然解凍して味わえます」という店員の説明に、少しでも長く老舗の味を味わいたいと「それなら10個入りをください」と大箱を求めるファンも目立った。
HPでこの日までの販売と知り、津市から夫と駆け付けた主婦の速水伸子さん(50)は「半つきの餅米と甘さ控えめのこしあんのハーモニー、コロンとした見た目も可愛くて、伊勢に来たら必ず買っていた。老舗の味はいつまでもあるものと思っていたので、すごくさびしい。いつかまた復活してほしい」と閉店を惜しんだ。職場の分や他県で暮らすいとこに送るという二見町の会社員、西川尚子さん(49)も「慶弔には欠かせない伊勢のお菓子。特に限定の栗あんが大好きだった。さびしい限りです」と残念がっていた。
あっさりした甘みのこしあんを半つきの蒸しもち米で包んだ同餅は、同軒が1893(明治26)年の創業当時から作り続けてきた。観光土産としても用いられたが、地元のお茶うけとして愛されてきた。売り上げは安定していたとはいえ、原価率が高く、日持ちもしないだけに、従業員25人ほどの零細企業としては常に苦しい経営だった。
同軒経営者の幼なじみで、食品加工販売の真珠漬本舗(同市二見町茶屋)の経営者が2016年に資産や従業員を引き継いで運営したが、継続は困難と同軒廃業を決断した。
別会社での製造継続を断念した理由について、同社役員の一人は「老舗の店と看板商品は一体のもの。同軒で頑張ってきた従業員の方々を抜きに別会社で継続することは、同じ地元の商人としては心苦しい。そんな私たちの気持ちをくみ取っていただければ」と語る。
そのうえで「製造終了を惜しんでいただく声が多いことには、ありがたさと驚きの気持ちでいっぱい。長らくご愛顧をいただいた皆さんに心からお礼と感謝をお伝えしたい。ありがとうございました」と語った。
スーパーサンシ(本社・鈴鹿市)では、「ありがとう『くうや勘助餅』」コーナーを設け、26日から全13店舗で5000箱を販売する予定。売り切れ次第終了。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200622-00000003-mai-soci
毎日新聞
1893年創業の老舗和菓子店廃業 看板商品「くうや観助餅」製造終了 三重
くうや観助餅1
今月末で廃業する創業約130年の老舗和菓子店、鈴木翠松軒の本店(三重県伊勢市二見町茶屋)で21日、最後の店頭営業が行われた。廃業後、看板商品「くうや観助餅」を別会社が引き継ぐ案も検討されていたが、この日限りで製造は終了することとなった。【尾崎稔裕、小沢由紀】
【大阪・新世界のシンボル「づぼらや」も閉店へ】
三重県内のショッピングセンターや高速道路のパーキングエリアなどでも同餅は販売されてきたが、ほとんどの販売先への商品納入を20日で打ち切った。各店で商品が売り切れても追加の納入はない。このため、作りたての餅が直営店で購入できるのは21日が最後のチャンス。本店では20日に過去最高の売り上げを記録したため最終日には、急きょ2000箱以上を用意した。
午前9時の開店から大勢のファンが入れ代わり立ち代わり訪れ、「6個入り三つ、8個入り五つ……」と、まとめ買い。「1カ月ぐらいなら冷凍して自然解凍して味わえます」という店員の説明に、少しでも長く老舗の味を味わいたいと「それなら10個入りをください」と大箱を求めるファンも目立った。
HPでこの日までの販売と知り、津市から夫と駆け付けた主婦の速水伸子さん(50)は「半つきの餅米と甘さ控えめのこしあんのハーモニー、コロンとした見た目も可愛くて、伊勢に来たら必ず買っていた。老舗の味はいつまでもあるものと思っていたので、すごくさびしい。いつかまた復活してほしい」と閉店を惜しんだ。職場の分や他県で暮らすいとこに送るという二見町の会社員、西川尚子さん(49)も「慶弔には欠かせない伊勢のお菓子。特に限定の栗あんが大好きだった。さびしい限りです」と残念がっていた。
あっさりした甘みのこしあんを半つきの蒸しもち米で包んだ同餅は、同軒が1893(明治26)年の創業当時から作り続けてきた。観光土産としても用いられたが、地元のお茶うけとして愛されてきた。売り上げは安定していたとはいえ、原価率が高く、日持ちもしないだけに、従業員25人ほどの零細企業としては常に苦しい経営だった。
同軒経営者の幼なじみで、食品加工販売の真珠漬本舗(同市二見町茶屋)の経営者が2016年に資産や従業員を引き継いで運営したが、継続は困難と同軒廃業を決断した。
別会社での製造継続を断念した理由について、同社役員の一人は「老舗の店と看板商品は一体のもの。同軒で頑張ってきた従業員の方々を抜きに別会社で継続することは、同じ地元の商人としては心苦しい。そんな私たちの気持ちをくみ取っていただければ」と語る。
そのうえで「製造終了を惜しんでいただく声が多いことには、ありがたさと驚きの気持ちでいっぱい。長らくご愛顧をいただいた皆さんに心からお礼と感謝をお伝えしたい。ありがとうございました」と語った。
スーパーサンシ(本社・鈴鹿市)では、「ありがとう『くうや勘助餅』」コーナーを設け、26日から全13店舗で5000箱を販売する予定。売り切れ次第終了。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200622-00000003-mai-soci