6/21(日) 7:12配信
時事通信
王将果樹園でサクランボを収穫する天童温泉「滝の湯」従業員、菅井楓さん=18日、山形県天童市
サクランボ生産量日本一の山形県では、収穫の最盛期を迎えている。
今年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止されたサクランボ狩り用の果実も収穫が必要で、人手が足りず苦境に陥っている農園もある。そうした中、客足が戻らない地元旅館の従業員や、アルバイトを失った大学生らを雇用し、助け合ってコロナ禍を乗り切る動きが生まれている。
県内最大級の王将果樹園(天童市)は今年、毎年約2万人が訪れるサクランボ狩りを中止した。年間生産量10〜15トンのうち約6トンは観光用のため収穫量は倍増するが、例年来てくれる首都圏からのボランティアは受け入れられない。
運営する「やまがたさくらんぼファーム」の矢萩美智社長が「何とか全て収穫を」と思い立ったのが、旅館街の天童温泉で働く従業員らの雇用だ。長引く休業に苦しむ一部の旅館に持ち掛けたところ、ダブルワークが認められ、5月下旬から希望者がアルバイトとして勤務を始めた。
2日に1回のペースで働きに来ている天童温泉「滝の湯」の従業員菅井楓さん(32)は「お互い困っているし、まさにウィンウィン」と笑顔で話す。旅館は今月12日に営業再開したものの、宿泊客は例年の1割ほどにとどまり、勤務時間も限られているという。
「バイト代がなくなったので助かっている」と感謝するのは、東北芸術工科大4年の松浦貴大さん(23)。アルバイト先の飲食店は新型コロナの影響で閉店。大学のオンライン講義前の午前中に果樹園へ通っている。
収穫したサクランボは主にインターネット通販へ出品し、ふるさと納税の返礼品としても活用する。旅行商品を企画・販売する「DMC天童温泉」もネット販売し、商品に宿泊割引券を同封して旅客回復も図っている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5ff26784c3918236639d9c06c50b2e8eea38ef68