花火業界、存続の危機 新型コロナで大会中止―伝統継承にも黄信号
2020年06月18日07時08分 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020061700734&g=soc
「ドーン」という音とともに、夜空をきらびやかに彩る夏の風物詩、花火。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で各地の花火大会が次々と中止され、業界に危機感が広がっている。来年以降の開催も不透明で、伝統文化の継承も不安視される。
愛知県岡崎市の「磯谷煙火店」は、4月下旬から休業に入った。年間売り上げの9割を占める9月までの花火大会は相次いで中止になり、昨秋から生産してきた花火10トンが倉庫に眠る。明治時代からの家業を受け継ぐ4代目社長の磯谷尚孝さん(61)は「ここまで落ち込むのは戦後初めて」と肩を落とす。
磯谷さんは、全国の花火生産者や販売者で組織する日本煙火協会の会長を務め、コンピューター制御で打ち上げを音楽とシンクロさせる革新的な技術の開発にも尽力した。「粉(火薬)から作り、観客の反応を見て失敗と改良を繰り返す。そこに面白さがある」と魅力を語る。
会員の打ち上げ花火メーカー約120社の2019年度の国内生産高は約52億円。業績は安定して推移してきた業界だが、コロナ禍で一挙に苦境に陥り、廃業が相次ぐ懸念もあるという。
日本花火鑑賞士会(秋田県大仙市)の間瀬基夫会長によると、日本の打ち上げ花火は鎮魂や厄払いが始まりとされ、毎年2000回近くの花火大会が開かれる。今年は5月時点で6〜7割が中止となり、残りも実施できるか不透明という。間瀬さんは「形、色や上げ方は世界に類を見ない日本文化の象徴だが、業者は零細で経済的に最も苦境に陥りやすい」と危機感を募らせる。
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