古代人にとって「狩り」を効率的に行うことは非常に重要であり、その方法が新しく生み出されることは、人類の技術革新の起源とも言えるイベントでした。
歴史的な技術革新において「弓矢」は非常に重要なものであり、考古学者たちは、「いつから弓矢が使用されていたのか」という点に関心を抱いています。
そして最近、オーストラリア・グリフィス大学、人類進化研究センターの研究員であるミシェル・ラングレー氏らによる研究チームは、ユーラシア大陸最古である48,000年前の弓矢を発掘しました。
この発見は、技術革新が世界中で起きたことの証拠であり、古代人の能力の高さを示すものとなっています。
■ 弓矢は技術革新の証明
現在見つかっている最も古い弓矢は、約64,000年前のものだと考えられており、南アフリカのシブドゥ洞窟で見つかりました。
古代の弓矢はその他の場所でも見つかっており、アフリカ以外で最古のものは、ドイツの18,000年前の弓の断片でした。
この事例が示しているように、人類の技術革新の起源の多くは、アフリカの草原や海岸、あるいはヨーロッパの温帯環境から見つかっています。
対照的にアジアの熱帯雨林のような極端な環境では、人類が存在してきた深い歴史はあるものの、技術革新の証拠はあまり見つかっていなかったのです。
こうした背景により、考古学者たちは「技術革新は一部の地域で起こるもの」と考えていました。
ところが、今回の新しい調査と研究によって、スリランカの熱帯雨林の洞窟「ファ・ヒエン・レナ」から48000年前のもの思える弓矢の矢尻が発見されました。
ファ・ヒエン・レナの場所と発掘の様子
これは見つかった弓矢の中で2番目に古いものであり、ユーラシア大陸では最古です。
■ ユーラシア大陸最古の弓矢
基本的に古代の弓矢全体が現代まで保存されることはありません。なぜなら、弓矢は主に木や筋、繊維のように腐りやすいものから作られるからです。
ですから弓矢の証拠として発見されるものは硬い矢尻である場合が多いのです。
今回見つかった証拠も、骨で作られた矢尻でした。
ファ・ヒエン・レナで見つかった骨の矢尻
最初は「尖った骨」として扱われていましたが、高出力の顕微鏡で分析することで、強い衝撃によってできた損傷が認められました。これは骨を棒に固定して高速で獲物に撃った時に生じる損傷です。
つまり、「尖った骨」が「弓矢の矢尻として使用された」という情報を得ることができたのです。
■ 文明と技術を示す他の道具も見つかる
洞窟から新しく発見されたのは弓矢だけではありません。猿や鹿の骨・歯から作られたナイフ、スクレーパー、キリもあり、これらは皮や植物性の材料を処理するために使用されていました。
また、ある道具の側面には均等に切り込みが入れられており、繊維を編んで網を作るためのシャトルとして使用されていたと判明。
他にも白い貝殻のビーズや、赤・黄・銀の色鮮やかな鉱物顔料が見つかっています。
これら様々な道具は当時の社会生活と技術革新の明確な証拠です。
考古学者たちは長年、技術革新や近代化を特定の地域や環境と結びつけてきました。
しかし、今回の発見は、技術的もしくは文化的発展が世界の多くの地域で生じていたことを示しており、古代人が並外れた機知と新しい環境への適応力を持っていたことの証明となります。
わたしたちは古代人の能力を過小評価していたのです。今後の発見も彼らの能力をさらに証明していくものとなるかもしれませんね。
この研究は6月12日、「Science Advances」誌に掲載されました。
https://nazology.net/archives/62413
歴史的な技術革新において「弓矢」は非常に重要なものであり、考古学者たちは、「いつから弓矢が使用されていたのか」という点に関心を抱いています。
そして最近、オーストラリア・グリフィス大学、人類進化研究センターの研究員であるミシェル・ラングレー氏らによる研究チームは、ユーラシア大陸最古である48,000年前の弓矢を発掘しました。
この発見は、技術革新が世界中で起きたことの証拠であり、古代人の能力の高さを示すものとなっています。
■ 弓矢は技術革新の証明
現在見つかっている最も古い弓矢は、約64,000年前のものだと考えられており、南アフリカのシブドゥ洞窟で見つかりました。
古代の弓矢はその他の場所でも見つかっており、アフリカ以外で最古のものは、ドイツの18,000年前の弓の断片でした。
この事例が示しているように、人類の技術革新の起源の多くは、アフリカの草原や海岸、あるいはヨーロッパの温帯環境から見つかっています。
対照的にアジアの熱帯雨林のような極端な環境では、人類が存在してきた深い歴史はあるものの、技術革新の証拠はあまり見つかっていなかったのです。
こうした背景により、考古学者たちは「技術革新は一部の地域で起こるもの」と考えていました。
ところが、今回の新しい調査と研究によって、スリランカの熱帯雨林の洞窟「ファ・ヒエン・レナ」から48000年前のもの思える弓矢の矢尻が発見されました。
ファ・ヒエン・レナの場所と発掘の様子
これは見つかった弓矢の中で2番目に古いものであり、ユーラシア大陸では最古です。
■ ユーラシア大陸最古の弓矢
基本的に古代の弓矢全体が現代まで保存されることはありません。なぜなら、弓矢は主に木や筋、繊維のように腐りやすいものから作られるからです。
ですから弓矢の証拠として発見されるものは硬い矢尻である場合が多いのです。
今回見つかった証拠も、骨で作られた矢尻でした。
ファ・ヒエン・レナで見つかった骨の矢尻
最初は「尖った骨」として扱われていましたが、高出力の顕微鏡で分析することで、強い衝撃によってできた損傷が認められました。これは骨を棒に固定して高速で獲物に撃った時に生じる損傷です。
つまり、「尖った骨」が「弓矢の矢尻として使用された」という情報を得ることができたのです。
■ 文明と技術を示す他の道具も見つかる
洞窟から新しく発見されたのは弓矢だけではありません。猿や鹿の骨・歯から作られたナイフ、スクレーパー、キリもあり、これらは皮や植物性の材料を処理するために使用されていました。
また、ある道具の側面には均等に切り込みが入れられており、繊維を編んで網を作るためのシャトルとして使用されていたと判明。
他にも白い貝殻のビーズや、赤・黄・銀の色鮮やかな鉱物顔料が見つかっています。
これら様々な道具は当時の社会生活と技術革新の明確な証拠です。
考古学者たちは長年、技術革新や近代化を特定の地域や環境と結びつけてきました。
しかし、今回の発見は、技術的もしくは文化的発展が世界の多くの地域で生じていたことを示しており、古代人が並外れた機知と新しい環境への適応力を持っていたことの証明となります。
わたしたちは古代人の能力を過小評価していたのです。今後の発見も彼らの能力をさらに証明していくものとなるかもしれませんね。
この研究は6月12日、「Science Advances」誌に掲載されました。
https://nazology.net/archives/62413