2020年6月13日 17時17分
https://mainichi.jp/articles/20200613/k00/00m/040/133000c 新型コロナウイルスの影響で、小児がんの子どもや家族を支援するNPO法人「ゴールドリボン・ネットワーク」(東京都豊島区)の資金が不足し、支援縮小を余儀なくされている。街頭募金などの活動自粛が長期化しているためで、ゴールドリボンは「子どもたちのために支援を」と寄付呼びかけの声を強めている。
「助成が減り、福島と名古屋の行き来を減らさざるを得ない」。福島市の主婦、甘粕麻衣さん(35)は訴える。三女心々(ここ)ちゃん(5)は2歳6カ月で神経のがん「神経芽腫」が見つかった。2019年9月から福島を離れ、神経芽腫の治療に実績のある名古屋大医学部付属病院(名古屋市昭和区)に転院した。心々ちゃんには麻衣さんが付き添っている。
福島に残る夫健太郎さん(36)や心々ちゃんの3人のきょうだいをつないできたのが、ゴールドリボンが患者家族の宿泊・交通費を年間最大50万円助成する制度だった。心々ちゃんが家族と過ごす貴重な時間を支えていた。
ところが4月、助成金が大きく減額されることが決定。今後は、心々ちゃんに会いに行く機会を減らさざるを得ないという。6月5日、久しぶりに心々ちゃんに面会した健太郎さんは、宿泊費を抑えるため日帰りにした。
小児がんは15歳未満の子どもが発症するがんで、国内では年間約2000人の新規患者が報告されている。全国15カ所の医療機関が「小児がん拠点病院」に指定され、遠方から入院する子どもも多い。
こうした家族を支えるため、ゴールドリボンは街頭募金やチャリティーマラソンの収益などで資金を集めるが、4月以降、新型コロナの影響で活動が軒並み中止となり、今年の収入は例年の約8000万円から約3500万円も減る見込みという。一方で、新型コロナによる生活苦などで1〜5月の助成申請が68件と、昨年同期(26件)と比べ42件も増えた。ゴールドリボンでは、各家族への助成金を減らさざるを得ない状況だ。
松井秀文理事長によると、がん患者は免疫力が弱いため、感染を懸念して多人数が利用する公共交通機関を避けタクシーなどを使う人が多い。また、病気の子どもを支える安価な宿泊施設もコロナ禍で閉鎖が相次ぎ、「経済的負担が大きくなっている」という。世帯収入などを考慮して減額した助成金の積み増しを検討するが、「多くの方の寄付がないと支援できない。子どもたちのために協力してほしい」と訴えている。寄付はホームページから。問い合わせはゴールドリボン(電話03・5944・9922、平日午前10時〜午後4時)。【川瀬慎一朗】