自民党の河井案里参院議員(46)=広島選挙区=が初当選し、秘書が公職選挙法違反の罪で起訴された2019年7月の参院選を巡り、
夫の克行前法相(57)=自民、衆院広島3区=と案里氏が、地元議員ら約100人に2千万円超の現金を配った疑いがあることが10日、関係者の話で分かった。
検察当局は国会閉会後に公職選挙法違反(買収)容疑で河井夫妻の刑事責任を追及する方針を固めた。
現職法相が辞任に追い込まれた公選法違反事件は、買収行為による立件という異例の事態に発展する見通しとなった。
関係者によると、克行氏と案里氏は参院選前の19年4月に投開票された統一地方選の前後、
地元の県議や市議、首長ら約100人の事務所や自宅を訪問した。「陣中見舞い」や「当選祝い」といった名目で、
1人当たり数十万円の現金を配ったとされる。多くは克行氏が現金を持参したという。
検察当局はこれまでに河井夫妻の事務所などを家宅捜索した。関係者によると、現金の提供先を示したとされるリストを押収しており、
公選法違反容疑での立件対象額を精査するなど詰めの捜査を進めている。国会は17日に会期末を迎える。
河井夫妻はこれまでの検察当局の事情聴取に対し、買収行為を否定したとみられる。
克行氏は広島県議を経て1996年衆院選で初当選し7期目。19年9月に法相として初入閣を果たしたが、
参院選での案里氏陣営による車上運動員への買収行為が発覚したことを受け、同年10月末に法相を辞任した。
車上運動員への買収行為については広島地検が3月、案里氏の公設秘書、立道浩被告(54)ら2人を公選法違反(買収)罪で起訴し、
立道被告への判決は16日に言い渡される。立道被告に禁錮以上の刑が確定し、裁判所が連座制の適用を認めれば当選は無効となり、案里氏は失職する。
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