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2020年6月4日 13:54
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO59965220U0A600C2H52A00
家具販売大手イケア・ジャパン(千葉県船橋市)は4日、8日に開業する「イケア原宿」(東京・渋谷)を報道陣に公開した。国内初となる都心型の店舗で、同店限定の商品もそろえる。店舗専用のアプリも用意して、限られたスペースでも快適に家具が選べるよう配慮した。郊外店とは違う、新たな提案方法で若年層が気軽に立ち寄れる店づくりを進める。
JR原宿駅から徒歩1分の複合商業施設「ウィズ ハラジュク」内にオープンする。2階建てで、原宿駅前の通りから直接入店できる。売り場面積は約2500平方メートル、家具は約1000アイテムを取りそろえる。
「こういう時代だからこそ、高品質な商品を低価格で提供するのがミッションだ」。イケア・ジャパンのヘレン・フォン・ライス社長は力を込めた。もともと4月の開業を予定していたものの、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として延期していた。店舗内ではレジに飛沫を防止するビニールを張ったり、カフェの椅子を間引いたりするなど感染防止対策を取っている。
法人向け店舗を除いて国内10店舗目となるイケア原宿は同社の戦略を大きく変える象徴といえる店舗だ。これまで郊外に直営の大型店を構え、主に車で来店する家族客や新生活需要を取り込んできた。展開アイテム数も約9500と豊富で、店内には多数のショールームと在庫を抱える。
ただ、国内の家具業界は縮小傾向だ。専門誌発行のアイク(同・台東)によると2018年の国内市場は3兆円前後のもようで、20年で3割縮小した。特に郊外は少子高齢化で家具需要の減退が大きい。
このためイケア原宿では当日持ち帰れる商品を約900に絞った。大きな倉庫や駐車場スペースもない。仕事帰りや原宿へ遊びに来た若年層の「ついで買い」を誘って、顧客層を拡大する考えだ。
イケアの家具以外の魅力でもある食にもこだわる。店舗のカフェでは食べ歩きできるスウェーデンの伝統料理「ツンブロード」を原宿限定で販売する。植物由来のアイスやシナモンロールも用意して誘客を図る。他にも無添加にこだわったジュースやカップラーメンも販売する。従業員の制服もサステナブル素材を採用、若年層に広がる、環境に配慮した商品やサービスを求める「エシカル消費」のニーズに応える。
限られた売り場面積を有効に使うため、専用のスマートフォンアプリも開発した。家具のQRコードを読み込むと、現実の風景にデータを重ねる拡張現実(AR)で色違いを確認できる。気になった商品を登録すれば自宅の部屋でも利用でき、購入前にトータルコーディネートを確認できる。
イケアグループはこういった都心型店舗を増やしている。2月には法人向け店舗をJR渋谷駅近くに開いた。今後大阪などでも開業を予定する。世界では同規模の店舗をフランス・パリやスペイン・マドリードなどで約20店展開している。都市を中心とした車離れに対応するほか、街中に拠点を構えることでブランドを発信していく意味もある。