本学応用生物学系 宮田清司教授、クルガノフ・エルキン助教、博士前期課程応用生物学専攻2回生のパクヨンハクさんらの研究グループは、脳のTRPV1が放熱行動を制御し暑熱環境での体温上昇を抑えていることを発見しました。本成果は、英国Nature系科学雑誌『Scientific Reports』(2020年5月29日)に掲載されました。
研究成果の概要
人を含む哺乳類は恒温動物であり、体温を一定に保つ仕組みが存在しています。人類は、この仕組みにより極寒から熱帯地域まで棲息範囲を広げました。しかし、環境温度の変動にも関らず、なぜ体温が一定に保たれているのか?この単純な疑問に、人類はそのメカニズムをいまだに解明できていません。Transient receptor potential (TRP) familyは、温度感受性のあるタンパク質で体温制御に関与すると考えられてきました。本研究では、TRPV1に着目し暑熱環境における役割を調べました。その結果、TRPV1遺伝子を欠くノックアウトマウスは暑熱環境において異常な体温上昇が観察されました※1。この理由として、脳に存在するTRPV1が放熱行動を制御し、体温を下げていることも明らかにしました。
我々の研究グループでは2019年、Physiology & Behavior誌※2に、唐辛子に含まれる辛み成分でTRPV1活性化物質のカプサイシンが、脳に作用し体温を低下させることを発表しています。よって、熱帯域から亜熱帯域において唐辛子を含む食品が好まれるのは、脳のTRPV1放熱神経回路をオンにすることで体温上昇を抑制していることが考えられます。近年、地球温暖化傾向が進行し日本でも真夏の平均気温は予想を超える高さとなっています。暑い夏に、唐辛子を含んだ食事を食べることは体温のオーバーシュートを抑制することが期待されます。
https://research-er.jp/articles/view/89294
研究成果の概要
人を含む哺乳類は恒温動物であり、体温を一定に保つ仕組みが存在しています。人類は、この仕組みにより極寒から熱帯地域まで棲息範囲を広げました。しかし、環境温度の変動にも関らず、なぜ体温が一定に保たれているのか?この単純な疑問に、人類はそのメカニズムをいまだに解明できていません。Transient receptor potential (TRP) familyは、温度感受性のあるタンパク質で体温制御に関与すると考えられてきました。本研究では、TRPV1に着目し暑熱環境における役割を調べました。その結果、TRPV1遺伝子を欠くノックアウトマウスは暑熱環境において異常な体温上昇が観察されました※1。この理由として、脳に存在するTRPV1が放熱行動を制御し、体温を下げていることも明らかにしました。
我々の研究グループでは2019年、Physiology & Behavior誌※2に、唐辛子に含まれる辛み成分でTRPV1活性化物質のカプサイシンが、脳に作用し体温を低下させることを発表しています。よって、熱帯域から亜熱帯域において唐辛子を含む食品が好まれるのは、脳のTRPV1放熱神経回路をオンにすることで体温上昇を抑制していることが考えられます。近年、地球温暖化傾向が進行し日本でも真夏の平均気温は予想を超える高さとなっています。暑い夏に、唐辛子を含んだ食事を食べることは体温のオーバーシュートを抑制することが期待されます。
https://research-er.jp/articles/view/89294