【フランクフルト=深尾幸生、北京=多部田俊輔】ロイター通信は27日、独フォルクスワーゲン(VW)が中国自動車大手の親会社に50%出資する方向で最終調整していると報じた。VWが合弁を組む安徽江淮汽車集団(JAC)を傘下に持つ政府系企業に35億元(約520億円)を投じるという。電気自動車(EV)などの生産基盤を強化し、中国でのシェア首位を守る狙いとみられる。
ロイターによるとVWが出資する方向で検討に入ったのは安徽省政府が全額出資する安徽省江淮汽車集団控股。JACは上海証券取引所に上場している。
JACは日本経済新聞の取材に対し「親会社は戦略的投資家を迎えることを計画している」と答えた。具体的な企業名は明かさず「親会社の経営権に変更はない」ともしている。
VWの広報担当者は臆測にはコメントしないとしながら「VWは現地のパートナーとの関係強化を常に検討しており、中国での長期にわたる成功を確保するために全ての関係者とあらゆる選択肢を探る」と述べた。
JACは1964年設立の国営自動車工場が母体で、2019年の新車販売台数は前年比9%減の42万台だった。約4割を乗用車が占め、残りが商用車。中国メディアによると19年の販売台数は10位だった。
VWとは17年にEVなど新エネルギー車の合弁会社を設立し、19年9月から販売を始めた。VWにとって中国第一汽車集団、上海汽車集団に次ぐ3つ目の中国自動車合弁だ。
ロイターによると、VWは自動車向け電池大手の国軒高科に3割近く出資することも検討しているという。
VWは中国で28年までに1160万台のEVを生産することを計画している。足元で中国の新エネ車市場は停滞しているが、VWは将来性は大きいとみている。米テスラが単独工場を稼働させるなど競争が激しくなるなかで、経営への関与を強めることで将来への足場を固める。
2020年5月27日 18:00
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