2020.5.20 07:05
ソーシャルメディアサイトでの情報活動分析の専門家、ベンジャミン・ストリック氏(ロンドン在住)は14日までに、ソーシャルメディア上で中国政府が支援しているとされるプロパガンダ(宣伝工作)活動と結び付きのある大量の自動作成アカウントが、新型コロナウイルスなどの問題について虚偽情報を拡散しているとする分析をまとめた。米SNS大手フェイスブックは同氏が指摘したアカウントを削除した。
同氏によれば、こうしたアカウントは中国政府に批判的な人物を攻撃するコンテンツや新型コロナ発生源について米国を非難する陰謀論を広めるために利用されている。
同氏は4月25日〜5月3日に中国による虚偽情報拡散に関連するアカウントをツイッター上で1000超、フェイスブックで50ページ余り特定したと説明。中国側の活動の一環として毎日300〜400の新たなツイッターアカウントが作成されていると推計している。同氏はインタビューに応じ、「こうしたネットワークはまだ成長している。国家が支援する中国のキャンペーンだ」との見方を示した。
調査ウェブサイトのベリングキャットに先週公表された調査で、同氏はこの活動を「さまざまなトピックスに関するナラティブ(話)をゆがめ、定められたアジェンダを後押しするため」に、協調したやり方で機能する「よく仕組まれた情報キャンペーン」だと表現した。
米グラフィカの調査ディレクター、ベン・ニンモ氏はストリック氏が突き止めたアカウントは「スパモフラージュ・ドラゴン」として知られるネットワークに関連しているようだと分析。スパモフラージュは以前、ユーチューブとツイッター、フェイスブックでアカウントを乗っ取ったり偽アカウントを利用したりすることで香港の抗議参加者への攻撃を促していたと特定されている。
中国外務省は13日、中国による虚偽情報拡散に関する報道や報告は「全く事実無根だ」と反論。同省の趙立堅報道官は北京での定例記者会見で、「中国は虚偽情報に反対」だと述べ、「中国の当局者がツイッターなどのソーシャルメディアプラットフォームにアカウントを開設している目的は世界とより良い意思疎通を行い、中国の状況と政策を紹介することだ。相互理解を深めるため外の世界とのコミュニケーションと意見交換を強化したい」と説明した。
ツイッターの広報担当者は「プラットフォームを操作する試みを割り出し減らすため積極的にモニターしている」「国内もしくは外国主導で国が支援する活動に確実に帰することができる情報キャンペーンを特定した場合、それを開示する」と説明した。
フェイスブックの広報担当者は、ストリック氏が特定したアカウントを削除したことを明らかにした。迷惑メールを拡散させたことが理由という。(ブルームバーグ Ryan Gallagher)
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200520/mcb2005200705001-n1.htm