5/14(木) 9:00配信
毎日新聞
結婚式のイメージ=ゲッティ
新型コロナウイルスの感染拡大が生活や経済に深刻な影響を及ぼす中、弁護士への法律相談が殺到している。緊急事態宣言の発令で社会活動が止まり、想定外の事態が相次いでいることが背景にあるようだ。若者や障害者らが無料で気軽に相談できる場も設けられており、弁護士らは「解決策が見つかるかもしれない。自己判断せず、連絡を寄せてほしい」と訴えている。
【新型コロナ 感染した?と思ったら…】
日本弁護士連合会は4月20日、電話とインターネットで無料相談の受け付けを始めた。日弁連が全国からの問い合わせを集約。相談者の住所に近い弁護士会の担当弁護士が電話で連絡し、相談に乗っている。
日弁連によると、7日現在で約800件の問い合わせがあった。多かったのは、結婚式のキャンセル相談。多くのカップルが予定していた式を開けなかったとみられる。規模によっては多額の費用が必要となり、深刻だ。
緊急事態宣言の発令前に式場をキャンセルして費用を全額負担したものの、式場側が宣言後のキャンセルは減額・免除する対応を取ったため、キャンセル料の返還を求めて交渉しているという相談もあった。今後、結婚式を挙げるというカップルからもキャンセルに関する相談が寄せられたが、感染の収束時期が見通せない現時点では「自己都合の解約」とみなされる恐れもあるという。
イベントの中止は、会場を提供する側にとっても痛手となる。加賀山瞭弁護士(第二東京弁護士会)は「利用者と提供者の双方が痛み分けで納得できるような解決策を探るしかない。丁寧に状況を説明し、交渉を重ねることが大切」と語る。国や自治体が支援策を打ち出す可能性もあるため、日々変化する情報を収集する努力も重要と指摘する。
弁護士の有志らが開設した社会的弱者向けの法律相談窓口もある。「全国トラブルシューター弁護士ネットワーク」(トラ弁ネット)は、知的・発達障害者からの相談を無料で受け付けている。働き先だった福祉事業所が閉鎖され、生活が困窮し、居場所も失ったとする相談が目立つという。
東京弁護士会所属の弁護士約20人は、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使った「コロナ法律相談室」を始めた。学生ら若い世代からの相談が多いといい、「大学がオンライン授業に切り替わり、実家に戻った。支払った家賃を返還してもらえないか」「勤務先から休業指示を受けたが、何も補償がない」などの声が上がっているという。対応した黒羽倫子弁護士は「民法の規定などを活用して解決できる場合もある。焦って自己判断で対応するのは危険」と呼び掛ける。【近松仁太郎】
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