Facebookなどのソーシャルプラットフォームには日々大量の写真やムービーが投稿されていますが、その中にはポルノや暴力的なコンテンツなど、プラットフォームのルールに反した不適切なものも含まれます。そんなコンテンツを監視・削除するモデレーターたちは業務のストレスから精神的な障害を患うケースもあり、Facebookに対する集団訴訟が起こされていますが、Facebookがモデレーターたちに対して5200万ドル(約56億円)もの和解金を支払うことで合意したと報じられました。
Facebookのモデレーターたちは日々の業務においてレイプや殺人、自殺に関するショッキングな画像やムービーを目にすることも多く、中には業務のストレスからパニック障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する人もいるとのこと。Facebookの下請け従業員として働くモデレーターたちが置かれた過酷な状況や精神的な苦痛については、以下の記事を読むとよくわかります。
殺人や暴力映像を監視・削除するFacebookのモデレーターの間にセックス・大麻・差別ジョークが広まる事態に - GIGAZINE
過酷な業務で知られるFacebookのモデレーターとして勤務した結果、PTSDを発症したSelena Scolaさんが、2018年9月にFacebookに対して訴訟を起こしました。Scolaさんはレイプや殺人、自殺などの画像を定期的に見ることを求められ、9カ月間勤務した後にPTSDになってしまったそうで、最終的にアメリカの4つの州でモデレーターとして働くほかの人々も加わった集団訴訟に発展しました。これらのモデレーターたちはAccenture、Cognizant、Genpact、ProUnlimitedといったコンサルティング会社から業務を委託された下請け従業員でしたが、Facebookが従業員に対して安全な職場環境を整えなかったと主張しています。
モデレーターによる集団訴訟の結果、2020年5月8日(金)にカリフォルニア州のサン・マテオ上級裁判所へ「Facebookが現在および過去に勤務したモデレーターたちに、メンタルヘルスの問題への補償として5200万ドルを支払う」との予備的和解が提出され、Facebookはこの和解案に同意しました。補償は合計で1万1250人ものモデレーターが対象となり、各モデレーターは最低1000ドル(約11万円)を受け取ることができるとのこと。
Facebookは1000ドルの補償金が医療目的で費やされることを意図していますが、使い道はモデレーターたちに任されるそうです。また、PTSDやうつ病などのメンタルヘルスの問題があると診断された場合には追加で1500ドル(約16万円)の補償金が与えられるほか、複数の診断が組み合わさった場合は最大で6000ドル(約64万円)、さらにFacebookのモデレーターとして勤務している最中に深刻な被害を受けた人には、最大で5万ドル(約540万円)が補償されます。
原告の弁護士であるスティーブ・ウィリアムズ氏は、「フェイスブックが私たちと協力して、ほんの数年前には想像もできなかったような仕事をするモデレーターたちを助けるため、前例のないプログラムを作成したことを嬉しく思います。この業務で受ける可能性のある被害は現実的で深刻です」とコメントしました。
和解案には金銭的な補償だけでなく、モデレーターたちの精神被害を軽減するための新たなコンテンツ管理ツールの導入も含まれています。Facebookはモデレーターが監視するコンテンツの音声をデフォルトでミュートとし、画面をカラーではなくモノクロにするといった対策を予定しており、2020年末までに全モデレーターのうち80%、2021年中には全てのモデレーターに対して改善されたコンテンツ管理ツールが提供されるとのこと。また、モデレーターはメンタルヘルスの専門家と1対1のコーチングセッションを毎週受けることが可能になるほか、毎月のグループセラピーセッションも利用できるようになります。
加えてFacebookは、モデレーターを採用する際に採用候補者の感情的回復力について調査したり、職場での心理的サポート情報や、職場基準の違反を報告する方法をモデレーターに通知したりすることも、ベンダーに対して求めていく予定です。
Facebookの広報担当者は、「Facebookを誰にとっても安全な環境にするために、この重要な仕事をしてくれた人々に感謝しています。私たちはこの和解を通じて、彼らに追加??のサポートを提供することを約束します」と述べました。
https://gigazine.net/news/20200513-facebook-settlement-suffering-ptsd-moderators/
Facebookのモデレーターたちは日々の業務においてレイプや殺人、自殺に関するショッキングな画像やムービーを目にすることも多く、中には業務のストレスからパニック障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する人もいるとのこと。Facebookの下請け従業員として働くモデレーターたちが置かれた過酷な状況や精神的な苦痛については、以下の記事を読むとよくわかります。
殺人や暴力映像を監視・削除するFacebookのモデレーターの間にセックス・大麻・差別ジョークが広まる事態に - GIGAZINE
過酷な業務で知られるFacebookのモデレーターとして勤務した結果、PTSDを発症したSelena Scolaさんが、2018年9月にFacebookに対して訴訟を起こしました。Scolaさんはレイプや殺人、自殺などの画像を定期的に見ることを求められ、9カ月間勤務した後にPTSDになってしまったそうで、最終的にアメリカの4つの州でモデレーターとして働くほかの人々も加わった集団訴訟に発展しました。これらのモデレーターたちはAccenture、Cognizant、Genpact、ProUnlimitedといったコンサルティング会社から業務を委託された下請け従業員でしたが、Facebookが従業員に対して安全な職場環境を整えなかったと主張しています。
モデレーターによる集団訴訟の結果、2020年5月8日(金)にカリフォルニア州のサン・マテオ上級裁判所へ「Facebookが現在および過去に勤務したモデレーターたちに、メンタルヘルスの問題への補償として5200万ドルを支払う」との予備的和解が提出され、Facebookはこの和解案に同意しました。補償は合計で1万1250人ものモデレーターが対象となり、各モデレーターは最低1000ドル(約11万円)を受け取ることができるとのこと。
Facebookは1000ドルの補償金が医療目的で費やされることを意図していますが、使い道はモデレーターたちに任されるそうです。また、PTSDやうつ病などのメンタルヘルスの問題があると診断された場合には追加で1500ドル(約16万円)の補償金が与えられるほか、複数の診断が組み合わさった場合は最大で6000ドル(約64万円)、さらにFacebookのモデレーターとして勤務している最中に深刻な被害を受けた人には、最大で5万ドル(約540万円)が補償されます。
原告の弁護士であるスティーブ・ウィリアムズ氏は、「フェイスブックが私たちと協力して、ほんの数年前には想像もできなかったような仕事をするモデレーターたちを助けるため、前例のないプログラムを作成したことを嬉しく思います。この業務で受ける可能性のある被害は現実的で深刻です」とコメントしました。
和解案には金銭的な補償だけでなく、モデレーターたちの精神被害を軽減するための新たなコンテンツ管理ツールの導入も含まれています。Facebookはモデレーターが監視するコンテンツの音声をデフォルトでミュートとし、画面をカラーではなくモノクロにするといった対策を予定しており、2020年末までに全モデレーターのうち80%、2021年中には全てのモデレーターに対して改善されたコンテンツ管理ツールが提供されるとのこと。また、モデレーターはメンタルヘルスの専門家と1対1のコーチングセッションを毎週受けることが可能になるほか、毎月のグループセラピーセッションも利用できるようになります。
加えてFacebookは、モデレーターを採用する際に採用候補者の感情的回復力について調査したり、職場での心理的サポート情報や、職場基準の違反を報告する方法をモデレーターに通知したりすることも、ベンダーに対して求めていく予定です。
Facebookの広報担当者は、「Facebookを誰にとっても安全な環境にするために、この重要な仕事をしてくれた人々に感謝しています。私たちはこの和解を通じて、彼らに追加??のサポートを提供することを約束します」と述べました。
https://gigazine.net/news/20200513-facebook-settlement-suffering-ptsd-moderators/