https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200511-00000003-nna_kyodo-asia
シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、果物の皮を利用してエビの殻から食品包装材の原料を抽出する技術を開発したと発表した。
世界的にエビの殻が大量に廃棄される中、食品廃棄物である果物の皮を有効活用した低コストの処理技術として、商用化を目指す。
エビの殻にはキチンと呼ばれる多糖類が含まれており、抗菌性の高い食品の包装材や安定剤の原料として広く使われている。
NTUの研究チームは、エビの殻と果物の皮を一緒に発酵させることで、エビの殻から従来より結晶性の高い高品質なキチンを抽出する技術を開発した。
発酵の実験では、ブドウやマンゴー、リンゴ、パイナップルなど多様な果物を使用した。
発酵させて抽出したキチンをキトサンに変換する技術も合わせて開発した。
キトサンは、植物肥料などの原料になる。
現在は化学処理をしてキチンを抽出する方法が主流で処理コストもかさむ。
今回開発した技術は、自然の力を利用して抽出し、食品廃棄物も有効活用できる環境に優しい技術として期待されている。
研究チームは、キトサンとおからを組み合わせて耐久性の高い食品包装材を開発することも視野に入れている。
複数の企業とキチン、キトサンの生産技術の商用化にも取り組んでいる。
世界全体では、エビやカニといった甲殻類の廃棄物が年間600万〜800万トン発生しており、このうち45〜60%はエビの殻という。
新技術を活用することで、エビの殻の再利用を促したい考えだ。