5/10(日) 9:06配信
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青森県内で長い間、ツキノワグマがいないとされてきた八甲田山系や津軽半島などでクマの目撃が近年常態化している。過去3年間では十和田市や八戸市の市街地などでも市民からの情報が寄せられている。専門家は、暖冬の影響でクマの活動開始時期が早くなり、生息域が広がっている−と推測。今年はより活動範囲を広げている可能性もあり、県などは強く警戒を呼び掛けている。
ツキノワグマは数年前まで、県内では主に白神山地や下北地方に生息していた。環境省が各地の目撃情報などを基にまとめた2004年のツキノワグマの県内生息分布でも、その生息範囲が確認できる。これ以外の地域では、雪が深く、餌となる木の実が少ないことなどから生息数は極めて少ないとされていた。
潮目が変わってきたのは2012年ごろ。散発的に生息地以外での出没情報が出始めた。16年には県内全体での目撃・被害情報が15年の2倍以上の502件と爆発的に増え、17年以降も400件以上で推移している。
県が県警の情報を基にまとめた17年の県内クマの出没状況によると、17年には津軽半島北西部や県南地方でも出没が報告されるようになった。17〜19年の3年間は青森市103件、八戸市で66件、十和田市で80件の目撃情報があった。五所川原市金木町以北の津軽半島でも21件あった。
クマの生態を長年研究しているNPO法人日本ツキノワグマ研究所(広島県)の米田一彦理事長(十和田市出身)は「暖冬など気象の変化で全国的に出没が増えている」と指摘。秋田県鹿角市の山中で十和田市に住む2人を含むタケノコ採りの男女4人が犠牲になった16年も暖冬で、今年と状況がよく似ているという。
県自然保護課は今年、17〜19年に行ったクマの生息数調査の結果をとりまとめ、具体的な対策を検討する方針だ。
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