(前略)国際オリンピック委員会(IOC)は3月22日の声明で、「延期を含め検討」「4週間をめどに結論」との方針を出した。その2日後の24日に延期が決まり、さらに30日には五輪開幕が来年7月23日、パラリンピックは8月24日と、日程が従来のほぼ1年後に決まった。声明発表から日程決定までわずか9日間の早期決着だった。
東京大会の方向性を巡ってはこれまで、東京都、大会組織委員会、国がそれぞれ異なる立場で主張を戦わせてきた。今回、近代五輪史上初の延期で中心的な役割を果たしたのは、安倍晋三首相だった。
コロナ感染が拡大するなか、安倍首相と小池百合子都知事は3月に入って複数回、大会について議論を重ねた。浮上したのが、IOCへの「延期要請」だった。
2人が1年延期で足並みをそろえられたのは、大会を景気浮揚策として位置づけることで一致したからだ。中止はなんとしても避けたい。延期幅を2年でなく1年としたのも、効果をより早めに出したいとの狙いがあったという。
IOCと日本側のテレビ会議で1年延期の方針が決まった3月24日。安倍首相はこの会議前、組織委の森喜朗会長と2人きりで話した。
コロナ終息までの時間を長くとるために「2年(延期)にした方がいいのでは」と提案する森氏に、首相は「ワクチンの開発はできる。大丈夫」と1年延期の主張を曲げなかったという。首相との深い政治的関係を指して「運命共同体」と表現する森氏は、「(首相は)賭けたんだよ、2021年に」と解説した。政界には、安倍首相の自民党総裁任期が21年9月末で終わることと関連づける見方もある。
東京都にとっても、大会を経済対策の起爆剤として強調することは意味があった。都関係者は、「新型コロナによる景気悪化をどう立て直すかは国家的な問題」と主張することで、国の費用負担を引き出せるともくろむ。
「国と東京都が早いうちから連携したことで、早期に決まってよかった」
開幕日が決まった翌日の3月31日、首相官邸。関係者によると、安倍首相と小池知事はそうねぎらい合ったという。(野村周平、岡戸佑樹、長野佑介)
(以下省略部の見出し)
追加費用、数千億円 コロナで減収の都を圧迫
正論の日本政府、歯切れ悪いIOC
会場、ボランティア、チケット…ため息も
「開催困難」に備えた議論、スタートを
東京大会の今後の日程
朝日デジタル2020年4月30日 7時00分
https://digital.asahi.com/articles/ASN4W7SKCN4PUTIL021.html?iref=comtop_8_01
東京大会の方向性を巡ってはこれまで、東京都、大会組織委員会、国がそれぞれ異なる立場で主張を戦わせてきた。今回、近代五輪史上初の延期で中心的な役割を果たしたのは、安倍晋三首相だった。
コロナ感染が拡大するなか、安倍首相と小池百合子都知事は3月に入って複数回、大会について議論を重ねた。浮上したのが、IOCへの「延期要請」だった。
2人が1年延期で足並みをそろえられたのは、大会を景気浮揚策として位置づけることで一致したからだ。中止はなんとしても避けたい。延期幅を2年でなく1年としたのも、効果をより早めに出したいとの狙いがあったという。
IOCと日本側のテレビ会議で1年延期の方針が決まった3月24日。安倍首相はこの会議前、組織委の森喜朗会長と2人きりで話した。
コロナ終息までの時間を長くとるために「2年(延期)にした方がいいのでは」と提案する森氏に、首相は「ワクチンの開発はできる。大丈夫」と1年延期の主張を曲げなかったという。首相との深い政治的関係を指して「運命共同体」と表現する森氏は、「(首相は)賭けたんだよ、2021年に」と解説した。政界には、安倍首相の自民党総裁任期が21年9月末で終わることと関連づける見方もある。
東京都にとっても、大会を経済対策の起爆剤として強調することは意味があった。都関係者は、「新型コロナによる景気悪化をどう立て直すかは国家的な問題」と主張することで、国の費用負担を引き出せるともくろむ。
「国と東京都が早いうちから連携したことで、早期に決まってよかった」
開幕日が決まった翌日の3月31日、首相官邸。関係者によると、安倍首相と小池知事はそうねぎらい合ったという。(野村周平、岡戸佑樹、長野佑介)
(以下省略部の見出し)
追加費用、数千億円 コロナで減収の都を圧迫
正論の日本政府、歯切れ悪いIOC
会場、ボランティア、チケット…ため息も
「開催困難」に備えた議論、スタートを
東京大会の今後の日程
朝日デジタル2020年4月30日 7時00分
https://digital.asahi.com/articles/ASN4W7SKCN4PUTIL021.html?iref=comtop_8_01