https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/042600260/
■オス2頭の縄張り争い、種内攻撃は死因第2位だが前代未聞の映像
2頭のフロリダパンサーが縄張りをめぐって闘争しているところが、史上初めて動画に収められた。
息子と一緒にシチメンチョウ狩りに来ていたアンドレス・ピス氏が身を隠していたところ、視界の右で何かが動いた。若いオスのフロリダパンサーだった。
スマートフォンで動画を撮影し始めるや否や、成熟した別のおとなのオスが「どこからともなく現れ、まるで貨物列車のように若いオスに体当たりしました」と氏は回想する。
苛烈な戦いが続いたが、おとなのオスのほうが優位だった。
1分近く取っ組み合ったあと、若いオスは逃げていったが、のちにおとなのオスに殺されたのではないかとピス氏は考えている。
狩猟ガイドであり土地の管理者でもあるピス氏は、3月31日にクルーイストン市近郊、オキーチョビー湖の南西にある私有地で、この出来事を撮影。
マイク・エルフェンバイン氏とともに運営するフェイスブックページ「ザ・パンサーズ・オブ・サウス・フロリダ」で動画を共有した。
2人は普段からフロリダパンサーの写真や動画をここに投稿している。
前代未聞の動画に映っているのは「種内攻撃」と呼ばれる行動で、2頭は縄張りをめぐって争っており、死に至ることも多い。
フロリダパンサーはピューマ(クーガー)の亜種であり、米国の絶滅危惧種に指定されている。
種内攻撃は、交通事故に次いで2番目に多く記録されている死因だ。
「こうした映像は初めて見ましたが、侵略的な出会いで何が起こるのかを想像するのに役立ちます」。
そう話すのは、フロリダ州魚類野生生物保護委員会(FWCC)でフロリダパンサー班を率いるダレル・ランド氏だ。
「体格の大きなほうが圧倒していたように見えましたが、小さな方もかなり抵抗していました」
米魚類野生生物局のパンサー担当者デイビッド・シンドル氏は、この闘争は
「フロリダパンサーにとって理想的な生息環境である、適切に管理された私有地で起こりました」とEメールでの取材に答えた。
また、この動画は重要な意味を持つ、と付け加えた。
「なぜなら、フロリダ州を象徴する動物の生態が垣間見えるだけでなく、自分たちと同じく捕食者であり、ときに競合相手にもなるフロリダパンサーに
同州のハンターたちが抱く畏れと敬意が表れているからです」
■絶滅危惧種の苦難
フロリダパンサーは1970年代までに20頭未満まで減少し、絶滅寸前だった。
生息地の分断と狩猟が主な原因だ。残った個体も著しく近親交配が進んでいた。
1995年、新しい遺伝子を入れるために、テキサス州から8頭のメスのピューマが連れてこられ、うち5頭が、野生下で無事に繁殖した。
この策が功を奏し、それ以来、フロリダパンサーの個体数は200頭前後まで回復した。
とはいえ、現在もフロリダパンサーの苦難は続く。いまだ生息地と獲物が限られているため、頻繁に種内で殺し合いが起こっている。
オスには最大520平方キロメートルもの広大な縄張りが必要だ。これは東京23区の8割強に相当する。
同州には1日平均900人がよそから移住し、土地開発が激増する中、この問題はおそらく悪化するばかりだろうと専門家たちは言う。
※略
動画の中ではカラスがけたたましく鳴いている。ピス氏によると、カラスはフロリダパンサーのような肉食動物が近くにいると、よく周囲に集まって大声を出す。
闘争の終盤には、大きなイノシシがフロリダパンサーたちに向かって突進するのが見える。
「積年の恨みを晴らそうとしていたのかもしれません」とピス氏は言う。
「イノシシは、ときに攻撃的になることがある動物なので、主な捕食者の1種であるフロリダパンサーに向かって行くのは、ありえなくはないことだと思います」。ランド氏はそう話す。
非営利団体フロリダ野生生物連盟(FWF)の現地代表者メレディス・バッド氏は、イノシシによっておとなのオスの気がそらされたことで、
若いオスが少なくとも一時的に命拾いしたのではないかと話す。
※続きはソースで
動画