米航空機大手ボーイングは25日、ブラジルの小型機メーカーのエンブラエルの旅客機部門を事業統合する交渉を打ち切ると発表した。2度の墜落事故を起こした小型旅客機「737MAX」の運航・生産停止に加え、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちとなって、ボーイングの経営悪化が進んでいることが影響した可能性がある。
両社は2018年7月に統合計画を発表。エンブラエルの小型旅客機部門を合弁会社に移管し、ボーイングが38億ドル(約4000億円)で新会社の株式の80%を取得する計画で、エンブラエルの旅客機部門を事実上買収する枠組みだった。
ボーイングは25日、「2年以上にわたり交渉を行ったが、契約条件が満たされず、交渉は失敗に終わった」との声明を発表した。一方、エンブラエルは同日の声明で「ボーイングは買収価格の支払いを回避するため不当に交渉を打ち切った」と非難した。
ボーイングは今回の事業買収により、カナダの小型旅客機メーカー、ボンバルディアの小型機事業を買収する欧州航空機大手エアバスに対抗する狙いだった。しかし、737MAXの事故や新型コロナウイルス流行による航空機市場の低迷により、航空機業界の再編が頓挫した形だ。【ワシントン中井正裕】
毎日新聞2020年4月26日 18時22分(最終更新 4月26日 18時22分)
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