二本松市岳温泉で「櫟平(くぬぎだいら)ホテル」を経営する泉屋旅館は、福島地裁から破産手続きの開始決定を受けたことが24日、関係者への取材で分かった。決定は24日付。負債額は約4億円で、従業員約50人は12日に全員解雇した。
関係者によると、昨年10月の東日本台風で売り上げが減少した後、回復の兆しもあったが、新型コロナウイルスの感染拡大で利用客数が急激に減少、運転資金を調達できずに経営継続を断念した。
櫟平ホテルは1993(平成5)年にオープンした。和室を中心に70の客室を備え、350人が宿泊できる大規模な温泉ホテル。
泉屋旅館は2004年に約54億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請して経営破綻。08年からは民事再生時のスポンサー企業から独立し、自主再建に取り組んでいた。同時に担保権が設定された債権約6億円を引き継ぎ、その返済が経営を圧迫していた。
東日本大震災の前後に2度、債権者から担保不動産の競売申し立てを受け、18年にホテル施設などを売却して競売取り下げにこぎ着けた。しかし、原発事故の風評などで売り上げは震災前の8割にとどまっていたという。
岳温泉旅館協同組合の鈴木安一理事長は「新型コロナウイルスも一緒に乗り越えていきたかったが、残念だ。終息後に岳温泉として立ち上がるためにも大きな力を失った」と話した。
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