ウナギ稚魚密輸企てた疑いで捜索
*ソース元にニュース画像あり*
http://www3.nhk.or.jp/lnews/osaka/20200416/2000028338.html
※NHKローカルニュースは元記事が消えるのが早いので御注意を
絶滅のおそれがあるニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」を不正に国外に持ち出そうとしたとして、
警察が大阪に住む50代の男の自宅などを捜索したことが関係者への取材で分かりました。
警察は、養殖するための稚魚を密輸しようとしたものとみて詳しい実態を調べています。
関係者によりますと、ことし1月、関西空港から香港に向かう予定だった4人の男のスーツケースの中から、
実質的に輸出が禁止されているシラスウナギあわせておよそ60キロが相次いで見つかり、税関が押収しました。
その後、4人が大阪府内に住む50代の男から香港への持ち出しを依頼され
報酬を受け取っていたことが分かったことから、警察はこれまでに関税法違反の疑いで
男らの自宅や関係先などを捜索したということです。
男らは、シラスウナギの漁が始まった去年12月ごろから香港への渡航を繰り返していたということで、
警察は養殖するための稚魚を密輸する組織的なグループがあるとみて調べています。
ニホンウナギは、国際機関によって絶滅危惧種に指定されていますが、
稚魚の密輸など不透明な国際取り引きが問題になっています。
業界関係者は、「香港では、日本から密輸された稚魚を高く買い取ると聞いている。
海外は養殖のコストが安いので採算がとれるのだろう」などと話しています。
【シラスウナギを巡る状況】。
ニホンウナギは、生息数が大幅に減少し国際機関から絶滅危惧種に指定されています。
養殖に使われる稚魚のシラスウナギについても漁獲量の減少が続き、
昨シーズンの1キロあたりの価格は219万円と10年前の6倍近くになりました。
日本では不足分を輸入するとともに、資源を確保するため国内でとれたものについて実質的に輸出を禁止しています。
シラスウナギを巡っては、漁を行っていないとされる香港から毎年大量のシラスウナギが
日本に輸出されるなど、不透明な国際取り引きが指摘されています。
日本からの不正な持ち出しについては、平成9年以降、大阪税関の管内で
およそ30件摘発されるなどかつては相次いで発覚していましたが、
価格が高騰しているこの10年余りは確認されていません。
今回、日本から香港にシラスウナギが持ち出された背景について、業界関係者は
「香港では、日本から密輸したシラスウナギを高く買い取ると聞いている。
海外の方がコストが安いため、高値で買って養殖しても採算が取れるのだろう。
ことしはシラスウナギが豊漁で国内の価格が安いことも影響しているのかもしれない」と話しています。
【専門家“罰則厳しく流通段階の管理強化を”】。
ウナギの保護や生態に詳しい中央大学の海部健三准教授は、シラスウナギを巡る取り引きの実態について、
「国内での不適切な漁獲や横流しのほか、日本をはじめ、韓国や中国、
台湾の間での不透明な取り引きに世界から厳しい目が向けられている。
消費者が何も知らずに、違法な行為が関わったウナギを口に入れさせられているというのが大きな問題だ」
と述べました。
そのうえで、今回不正な持ち出しが明らかになったことについて、
「今シーズンは周辺国と比較して国内でシラスウナギが多くとれたため、
国外へ流出する状況になっているのではないか」と指摘しました。
海部准教授は、高価なシラスウナギは密輸などで得られる利益が大きい一方、
不正が発覚した際の罰則が甘いと指摘したうえで、「シラスウナギの漁獲や流通が不透明だと、
ウナギの資源量を推測するための適切なデータを入手することが難しくなり、資源管理が困難になる。
罰則を厳しくするとともに、流通段階の管理を強化することが必要だ」と述べました。
04/16 12:28