今回のテーマは、「サンダース撤退の意味」です。バーニー・サンダース上院議員(無所属・東部バーモント州)は8日、民主党大統領候補指名争いからの撤退を表明しました。これで2020年米大統領選挙はドナルド・トランプ大統領とジョー・バイデン前副大統領の一騎打ちが確実になりました。ただ、サンダース上院議員の撤退声明には、今後の大統領選挙を占う上で、重要なメッセージが含まれています。
※省略
バイデン氏が欲しているのは1点のみです。熱狂的なサンダース支持の若者です。
2016年米大統領選挙で、ヒラリー・クリントン元国務長官は女性、アフリカ系及びヒスパニック(中南米)系から一定の支持を得ました。しかし、本選で多くの若者がクリントン陣営の選挙運動に参加しなかったために「異文化連合軍」を組むことができず、トランプ氏に敗れました。バイデン氏にはその教訓があります。
サンダース上院議員はバイデン前副大統領の足元を見ています。おそらく、サンダース氏は若者の支持と国民皆保険制度の導入を交換条件に出すでしょう。
ただ、オバマケア(オバマ前大統領の医療保険制度改革)拡大を主張して予備選挙・党員集会を戦ったバイデン氏にとって、ハードルが高い交換条件であることは間違いありません。従って、バイデン氏は難色を示します。
※省略
■トランプの「揺さぶり」と「切り崩し」
トランプ大統領は前回の大統領選挙と同様、サンダース支持者に揺さぶりをかけて切り崩しを図っています。サンダース支持者の票を奪えば、バイデン前副大統領が勝利する公算が小さくなるからです。
あるホワイトハウス担当記者がサンダース撤退に関して質問をすると、トランプ大統領は「なぜオバマはバイデン支持を表明しないのか」と疑問を投げかけました。その上で、記者団に向かって「オバマは君たちが知らない何かを知っている。私は知っているが、君たちは知らない」と、含みを持たせた言い方をしました。バイデン氏の言動について懐疑的にするトランプ大統領らしい心理作戦です。
トランプ大統領は「バイデンには公表できない秘密があり、それが原因でオバマは彼を支持できない。オバマと私は知っている」という「隠されたメッセージ」を発信し、サンダース支持者に揺さぶりをかけました。
同時に、サンダース支持者を「すばらしい人たちだ」と褒めたたえ、貿易政策で立場が一致していると強調し、共和党に加わるように彼らに呼び掛けました。
■エスタブリッシュメントの犠牲者
自身のツイッターにおいても、トランプ大統領は「揺さぶり」と「切り崩し」の戦略をとっています。「AOCプラス3(スリー)がまだバイデンを支持していない」と投稿しました。AOCはサンダース上院議員の弟子であるヒスパニック系のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(東部ニューヨーク州)のそれぞれの頭文字をとったものです。
一方、3はパレスチナ系のラシダ・タリーブ下院議員(中西部ミシガン州)、ソマリア系のイルハン・オマル下院議員(中西部ミネソタ州)及びアフリカ系のアヤンナ・プレスリー下院議員(東部マサチューセッツ州)です。
AOCプラス3は、非白人の民主党若手女性議員で、サンダース上院議員と同じ急進左派です。トランプ大統領はAOCプラス3を持ち出して、「彼女たちはバイデン支持者ではない」というメッセージを発信して、ここでもサンダース支持者に揺さぶりをかけました。
加えて、「(サンダースは)エリザベス・ウォーレン(上院議員)が早く撤退をしていれば、(予備選が集中した3月3日の)スーパーチューズデーのほとんどの州で勝利を収めていただろう」と、自身のツイッターでつぶやき、サンダース支持者に同情を示しました。
サンダース撤退に関して、「民主党全国委員会(DNC)が望んでいた終わり方だ」とも投稿しました。つまり、民主党指導部の策略によって、サンダース上院議員はバイデン氏に敗れたのであって、「エスタブリッスメントの犠牲者である」という「隠されたメッセージ」を発したのです。その狙いは、4年前と同様、サンダース支持者の批判の目を民主党指導部に向けさせ、党内の分裂を深化させて、トランプ陣営に有利に働くように導くことです。
いづれにしても、トランプ大統領とバイデン副大統領によるサンダース支持者の争奪戦が幕を開けました。
4/14(火) 12:43配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200414-00010005-wedge-n_ame
※省略
バイデン氏が欲しているのは1点のみです。熱狂的なサンダース支持の若者です。
2016年米大統領選挙で、ヒラリー・クリントン元国務長官は女性、アフリカ系及びヒスパニック(中南米)系から一定の支持を得ました。しかし、本選で多くの若者がクリントン陣営の選挙運動に参加しなかったために「異文化連合軍」を組むことができず、トランプ氏に敗れました。バイデン氏にはその教訓があります。
サンダース上院議員はバイデン前副大統領の足元を見ています。おそらく、サンダース氏は若者の支持と国民皆保険制度の導入を交換条件に出すでしょう。
ただ、オバマケア(オバマ前大統領の医療保険制度改革)拡大を主張して予備選挙・党員集会を戦ったバイデン氏にとって、ハードルが高い交換条件であることは間違いありません。従って、バイデン氏は難色を示します。
※省略
■トランプの「揺さぶり」と「切り崩し」
トランプ大統領は前回の大統領選挙と同様、サンダース支持者に揺さぶりをかけて切り崩しを図っています。サンダース支持者の票を奪えば、バイデン前副大統領が勝利する公算が小さくなるからです。
あるホワイトハウス担当記者がサンダース撤退に関して質問をすると、トランプ大統領は「なぜオバマはバイデン支持を表明しないのか」と疑問を投げかけました。その上で、記者団に向かって「オバマは君たちが知らない何かを知っている。私は知っているが、君たちは知らない」と、含みを持たせた言い方をしました。バイデン氏の言動について懐疑的にするトランプ大統領らしい心理作戦です。
トランプ大統領は「バイデンには公表できない秘密があり、それが原因でオバマは彼を支持できない。オバマと私は知っている」という「隠されたメッセージ」を発信し、サンダース支持者に揺さぶりをかけました。
同時に、サンダース支持者を「すばらしい人たちだ」と褒めたたえ、貿易政策で立場が一致していると強調し、共和党に加わるように彼らに呼び掛けました。
■エスタブリッシュメントの犠牲者
自身のツイッターにおいても、トランプ大統領は「揺さぶり」と「切り崩し」の戦略をとっています。「AOCプラス3(スリー)がまだバイデンを支持していない」と投稿しました。AOCはサンダース上院議員の弟子であるヒスパニック系のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(東部ニューヨーク州)のそれぞれの頭文字をとったものです。
一方、3はパレスチナ系のラシダ・タリーブ下院議員(中西部ミシガン州)、ソマリア系のイルハン・オマル下院議員(中西部ミネソタ州)及びアフリカ系のアヤンナ・プレスリー下院議員(東部マサチューセッツ州)です。
AOCプラス3は、非白人の民主党若手女性議員で、サンダース上院議員と同じ急進左派です。トランプ大統領はAOCプラス3を持ち出して、「彼女たちはバイデン支持者ではない」というメッセージを発信して、ここでもサンダース支持者に揺さぶりをかけました。
加えて、「(サンダースは)エリザベス・ウォーレン(上院議員)が早く撤退をしていれば、(予備選が集中した3月3日の)スーパーチューズデーのほとんどの州で勝利を収めていただろう」と、自身のツイッターでつぶやき、サンダース支持者に同情を示しました。
サンダース撤退に関して、「民主党全国委員会(DNC)が望んでいた終わり方だ」とも投稿しました。つまり、民主党指導部の策略によって、サンダース上院議員はバイデン氏に敗れたのであって、「エスタブリッスメントの犠牲者である」という「隠されたメッセージ」を発したのです。その狙いは、4年前と同様、サンダース支持者の批判の目を民主党指導部に向けさせ、党内の分裂を深化させて、トランプ陣営に有利に働くように導くことです。
いづれにしても、トランプ大統領とバイデン副大統領によるサンダース支持者の争奪戦が幕を開けました。
4/14(火) 12:43配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200414-00010005-wedge-n_ame