新型コロナウイルスの影響で、政府の緊急事態宣言が出された7つの都府県で、少なくとも248の介護サービス事業所が自主休業していることが自治体への取材で分かりました。専門家は「事業所への支援をしなければ、介護崩壊すら懸念される事態だ」と指摘しています。
介護施設のうち、特別養護老人ホームなどの入所型の施設は、緊急事態宣言を受けた休業要請の対象ではなく、知事の判断で要請できるデイサービスなどの通所施設と、ショートステイなどの短期間のみ入所する施設についても、7都県は、いずれもサービスを継続させる方針です。
しかし、NHKが法律に基づく緊急事態宣言が出された東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県の自治体に取材したところ、少なくとも合わせて248の介護サービス事業所が自主休業していることが分かりました。
このうち東京都が75件と最も多く、次いで大阪府が41件、千葉県が38件でした。
形態別で見ると、デイサービスなどの通所型の施設がほとんどで、短期入所や訪問介護の事業所も含まれているということです。
自主休業の主な理由は「地域での感染の発生」や「感染の予防」で、このほか、「マスクや消毒液など衛生用品の不足」や「事業所での人手不足」などもありました。
緊急事態宣言が出されている地域では、各自治体は介護事業者に休業せざるをえない場合は、必要に応じて訪問介護など代わりのサービスを確保するよう求めていますが、すでに訪問介護の現場でもクラスターと呼ばれる感染者の集団の発生が確認されていて、介護施設に通えなくなった高齢者をどのようにケアしていくかが課題となっています。
地域別では
今回新型コロナウイルスの影響で自主休業していることがわかった7都府県の248の介護サービス事業所を地域別に見ると、
▽東京都が75件、
▽大阪府が41件、
▽千葉県が38件、
▽神奈川県が33件、
▽福岡県が25件、
▽兵庫県が22件、
▽埼玉県が14件となっています。
このうち施設の形態がわかっているのは134の事業所で、デイサービスなどの通所型施設が8割余りを占めています。
受け入れ休止の事業所は
新型コロナウイルスの感染拡大に伴うデイサービスの自主休業で、利用者やその家族には大きな影響が出始めています。
このうち、東京 板橋区の介護施設では、今月7日の政府の緊急事態宣言を受けて、翌日からおよそ180人が利用していたデイサービスの受け入れを休止しました。
利用者の多くが80代以上で合併症を伴っていて、新型コロナウイルスに感染した場合死亡につながるリスクが高いと判断したため、やむなくデイサービスの休止を決断したということです。
しかし、緊急事態宣言後の国や東京都の要請の内容を考慮しながらぎりぎりまで検討を重ねた結果、利用者への通知が直前になってしまったということです。
施設長の白土裕之さんは、「デイケアと入所を受け入れているが、やむなく中断した。発表がもう少し事前に分かっていればわれわれも混乱なく時間的余裕が作れたと思う。利用者には非常に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と話しました。
そのうえで、利用者への対応については、「生活が成り立たなくなる方については、長期の入所という対応をしているが、それにも限界がある。一方、自宅を訪問してサービス行うことについては職員にノウハウがないため、対応に不備があった場合、事故につながる心配がありできない。長期化すれば施設や利用者にどこまで影響が出るか不安です」と話していました。
利用者は
要介護5の夫がこの事業所のデイサービスを利用していた東京都内の70代の女性のもとには、政府の緊急事態宣言の前後に2つの介護事業所から相次いで「翌日から受け入れを休止する」という連絡がありました。
夫は寝たきりの状態のため、週に4日デイサービスに通い、月に2回ショートステイを利用していて、特にデイサービスで行っていたリハビリや入浴が欠かせません。
※続きはソースで
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200413/k10012384981000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_002
2020年4月14日 20時54分